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あの日のようだ……
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どういう事なのか訳が分からなかった。ただ、音楽室の中で行われたであろう情事が分からないほどおれも無知ではなかった。
何で?という気持ちが最初に湧いた。
佐藤さんは否定していたけど、本当に恭一と佐藤さんは付き合っているんじゃないの?
おれ、あの日二人がキスするの見たんだよ…?
じゃあ、あの日見た二人の姿は何だったんだよ。
なぁ、恭一…?
全てがあの嵐の夜と重なり、繰り返しているようだ。
抑えようと思ってもガタガタと体が震えるのが止まらなくて、先生がおれに気付かずに音楽室を出て行った後も、動けなかった。
廊下を歩く足音が遠くなってようやく、体が動き出したおれは耐えきれず走り出していた。
「あ?……高橋……?」
教室から出てきた恭一の声が聞こえた。
だけど、止まれない。
バタバタバタ、
生徒のいない校舎に響き渡る忙しなく走る音。
バタバタバタ、
バタバタバタ、
足音が重なる。
走りながら、ちらと後ろを振り向く。
何で恭一、追いかけてくるんだよっ!?
これじゃ、まるであの日のようだ―――
お願い。
お願い、もう追い掛けてこないで…
心の中で何度も何度も懇願したけど、後方から聞こえる足音は止まる気配がない。
人間って追い詰められると上へ逃げると言うけれど、本当だ。
四階まで逃げてそれでも逃げ場を探して屋上に辿り着いていた。
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