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目が覚めたら、
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目を開けるとなぜか病室のベッドの上にいた。
遠くでナントカ先生を呼ぶアナウンスが流れているし、パタパタと廊下を忙しなく行き来するナースシューズの音が聞こえる。
鼻をつく消毒液の匂いはやはり病院特有のもので。
……おれ、どっか怪我したんだっけ?
なんだか靄がかかっているように頭がぼうっとして回らない。
いつまでも働こうとしない頭を軽く振って緩慢な動作で起き抜けの重たい身体を動かす。
あちこち見たけど右腕に湿布が貼ってあるだけ
動かすと少し痺れる程度であとは特に痛みもない…
そうこうしているうちにようやく頭の靄もスッキリしてきた。
コキコキと肩を鳴らしながらベッドから降りて、スリッパが見当たらなかったのでそのまま素足で床に立つ。
最初はうまく体重を支えきれず足元がふらついてベッドの手すりに掴まっていたけどすぐに支えなしで歩けた。
ぺたぺたと素足の裏で感触を確かめるように部屋の中を歩いてみる。
ひんやりとした床が気持ちいい。
心なしか背が伸びたような気がする。
いつもより視界が少し高いことに気が付いた。
ようやくおれにも遅い成長期が訪れたんだなとにやつく顔を抑えてふと出入口に備え付けの鏡に目を向けた。
「うそだろ…」
小林大輝(コバヤシヒロキ)、生まれてこのかた17年、鏡に映っていたのは―――見慣れた自分の顔とは別人―――が目を見開き驚愕の色を浮かべ見つめ返していた。
誰だ、これ!?
何だ、これ!?
どうなっているんだ?
震える手で自分の顔を触ってみる。
鼻は1つで口も1つ…
いやいや、それは当たり前だろ…
心の中で自分にセルフツッコミ。
深呼吸、ひとつ。
改めて前を見れば鏡の中の人物も“おれ”と同じように顔を触っている。
試しに自分の頬をつねってみる。鏡の中でも同じ動作。
端から見たら不審な行動だ。しかも地味に痛いのですぐにやめた。
再度、深呼吸。
ま、待て待て…
な、何だこれ?どーしたんだよ…
鈍い痛みに顔を歪めてうっすら赤くなった頬を押さえようやく身の上に起きたことを把握しはじめた。
慌てだしたおれはそこで叫んで発狂しなかっただけ偉いと思う。
しかし動揺は半端ない。
無意味に部屋の中をぐるぐるしながらどうしてこんなことになったか思い出していた。
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