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痣だらけの少年
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【佐木 光】
風が吹いている。
薄手のシャツが膨らみを帯び、それに合わせて揺れる。
何度も色を抜いて、もうほとんど白に近くなった金髪が夕日に照らされキラキラ輝く。
その髪色や、耳のいたるところに開いたピアスの穴は中学生になったばかりの少年には、やはり不釣り合いであった。
中学生らしい丸みを帯びているあどけなさの残る頬には痛々しい紫色のアザがあり、時折それを気にするように頬を擦る仕草をする。
季節は夏。ここは、町全体を見渡せるほど高い場所。周りには木々が生い茂っていて涼し気な木陰をつくりだしている。
この場所ならムシムシするこの時期でも多少は暑さが紛れるだろう。眺めも良く風が吹けばそれなりに涼しくて心地がいい。
それなのに普段滅多と人が来ないので、この町に来てからこの場所は少年のお気に入りとなっていた。
少年以外、ほぼ誰も来ないというのに、そこにはひっそり佇むベンチがある。
そこに腰かけ少年はポケットからスマートフォンを取り出した。何やら操作したあと静かに目線を上げひとつため息をついた。
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