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勘違い
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「なに赤くなってんの」
倉橋の異常なほどに赤くなっている顔をみて佐木がふきだした。
「もしかしてまたオナニーさせられるとおもったわけ」
「…え、違うの?」
頭にクエスチョンマークを浮かべる倉橋を見て更に笑う。男の感じてるところなんて見てもどうしようもないだろ?そう言った。
「オレはホモじゃないんだからさ」
「お前と違って」
最後の言葉に思わず体が怖ばる。
おそらく佐木にとってはなんの気もなしに放った言葉。ただからかっただけだ。しかし佐木の言葉が、あながち間違いではないことを、倉橋は絶対に誰にも悟られてはならないと思った。
中学生になりたての思春期真っ只中。
自分が、他の人とは違うことに気づいたのはつい最近であった。
前までは、女の人を好きになったことがないのはきっと、自分がまだ幼すぎるからだと、そう思っていた。
大人になれば自然と女の人を可愛いと思うんだと。
同性愛という言葉も、ゲイだのホモだの、なんとなく言葉の意味は知っていた。だけど自分は、男の人を好きになったこともなかった。自分が同性愛者かもしれないなんて、全くもって疑わなかった。
しかし今年の春。目の前の少年。佐木光をはじめてみた時。一瞬の静寂と胸の高鳴りを感じた。
金髪もピアスも目を引いたが、性格も、見た目に比例して派手だった。気が強くて先生のいうことなんか滅多と聞かないし授業も真面目に受けない。他の生徒と馴れあったりもしなかった。一般的に見ると最低最悪の人格だと思うけれど。
自分と違って、派手で気が強くて思ったことを何でも口に出すような、ハッキリとした性格に憧れを持ち始めたのだ。
気が弱く、八方美人でお人好しな自分とは正反対。そんな自分が大嫌いだし変わりたいとも思っていた。だけど所詮自分は自分。心のどこかで諦めていた。
せめてこの人と仲良くなれたら。この人のこともっと知れたら。そんな願望がうまれた。
その日から佐木に惹かれていった。それと同時に、自分が女の人を好きになれないことを実感していった。
この気持ちに、気づきたくなかった。
こんな思い、知らないままでいたかった。
もっと自分を、嫌いになってしまいそうだから。
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