アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
振動④
-
「ユウキはさ、なんでそんなに心配するの?佐木のこと。」
「今まで酷いこと、沢山されてきたじゃん。」
「そ、れは…」
一番されたくない質問だった。
どうしよう、顔が赤くなっていくのがわかる。見られたくなくて顔を逸らす。
好きだから、とは言えない。
「と、友達になりたいんだ」
嘘をついた。
本当は恋愛感情を抱いている。
嘘をつくのは大嫌いだし、下手くそだけど、やっぱり本当の事は言えない。
「ほら、僕、苦手だから。友達つくるの。サキくんの事見てたら、サキくんも、そうなのかなって思って。それで…」
仲良く、なりたかった。
そう言おうと思ったけど、声が詰まる。
何でだろう。涙が出そうになる。
それは、本当の事を言えない苦しさからか、叶わない恋への悲しさからか。
あるいは両方か。
まだ幼い小さな背中。
そこに背負いきれない感情は、涙として溢れ出る。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 79