アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ふたりぼっち⑤
-
サキくんは相変わらずTシャツに首だけ通したままかと思いきや、どうやら自分で最後まで着たようだ。
背丈も僕と大体同じなのでサイズはぴったりだった。
黒のTシャツとキラキラのピアスがいかつくてカッコイイ!と内心はしゃぎながらも、もう二度と覗く事の出来ない素肌を残念に思う。
そんな僕はきっと世間の言う、むっつりスケベとかいうジャンルに属しているのだろう。
「遅かったな。うんこ?」
いたずらっぽく笑いながらお菓子をつまむ佐木。
そんな彼に僕はデリカシーないな、と言いつつ胸の内では佐木から話しかけてくれた事を嬉しく思っていた。
暫くして漫画を読むのに飽きたのか、今度はキョロキョロと部屋を見渡し始める。
「お前の部屋、広いよな〜」
「最近、少し片付けたからそう見えるだけだよ」
ふーんと気の抜けたような返事をしてから、そういえば、と横目で僕を見る。
「なに?」
「エロ本ないの」
中学生らしい質問に「ないよ」と答えるとさらに「ビデオは?」「DVDは?」と質問攻め。「エッチなのはないよ」と答えるが疑ってやまない。
信用出来ないらしく「どーせ隠してんだろ〜」とぷんすか言いながら、ベットの下を覗きこんだり、引き出しを漁っている。
「隠してないよ」
僕が自信満々にそう言うと閃いたように言った。
「あ〜分かった。ケータイとかで見る派か」
絶対そうだと目を輝かせる佐木に、いいえ違います。頭の中で想像する派です。とは言えるはずもなく、「見てない見てない」と否定する。
探せど探せどなにも見つからなくて諦めたようで、しまいにはベットに寝そべり、棚にあった地球儀を手に取ってクルクル回し始めた。
何が楽しいのか分からないけれど、かなりご機嫌のようだ。鼻歌まで歌っている。
「ふんふんふ〜ん♪」
うつ伏せて枕に顎を乗せ、楽しそうに地球儀を回す姿が無邪気で愛らしくて思わず顔がほころぶ。
家に連れて来る前は精神的にも肉体的にも疲れているみたいで、怪我もひどくどうなる事かと思ったけれど。
ここまでリラックスしている所を見ているとまるでそれが嘘のようだ。
強がっているだけなのかもしれないけれど、鼻歌も出るほど回復したんだ。そう思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 79