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険悪④
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「…今までずっと、お兄さんにいじめられてたのかな」
頬にあった痣も、体中に刻まれた傷も。もしかしたらあの人にやられたのかもしれない。
夏の日差しの下、サキくんを待ちながら雲ひとつない空を見上げていた。
「辛かっただろうな。誰にも、言えなくて」
ふと玄関の蜘蛛の巣がキラキラ光るのが視界に入る。
その輝きは少しずつ、ぼやけて滲んでいく。
「全部、話してくれればいいのに」
「頼りないかな、僕なんかじゃ」
彼が何を思っているのか知りたい。
助けられるのなら助けてあげたい。
でも…。
ついさっき、お節介だと言われたことを思い出す。
「話したく、ないんだろうなぁ」
僕だって、いじめられていた事を誰かに話そうなんて思った事など、一度も無かったし。
むしろ、誰にも知られたくなくて隠すのに必死で。とにかく学校の事を聞かれるのが怖かった。
それを思うと、やっぱり…。
「お節介…だよね」
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