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返事
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6限目、翔と夏木に挟まれている自分の席を呪いながら、いつになく真面目に授業を受けていた。
夏木の告白には正直物凄く驚いたが、答えに迷いはしていない。
答えが決まっているのに返事を先延ばしにするのは、翔にも夏木にも失礼だろう。
だから、今日、ちゃんと言う。
告白なんてされたことのない俺にとって、人を振るというのは初体験だ。何て言おうか、どんな態度で言おうか、どこで言おうか…考えてると鼓動が鳴り響き続ける。
今の俺はきっと夏木が告白した時よりも緊張している…
5限目終了のチャイムが鳴り、ガヤつきだす教室で俺は隣の夏木に声をかけた。
「夏木、話があるんだ。さっきのことで…」
夏木と2人、屋上の踊り場に来た。
「昼の…告白だけど…」
夏木の目を見ると、夏木も真剣な目で俺を見ていた。
「俺は夏木とは付き合えない。
夏木のことは好きだ。
でもそれは友達としてで、恋愛感情じゃない。
だから、ごめん。」
少しの沈黙の後、先に言葉を発したのは夏木だった。
「…翔のことが好きなの?」
直球で聞かれて自分の顔が赤くなるのを感じた。
「…うん、好きだ。
翔がいない世界なんて…考えられない。」
「そっか…
初恋だったんだけどなぁ…
初恋は実らないって本当だね」
伸びをしながら明るい口調で言う夏木。
「夏木、なんで…俺を好きになったの?」
初恋…
初めて会ってからそんなに時間は経ってない。
それなのに告白なんて、しかも男の俺にするから…何というか、惚れっぽいとか、恋に慣れてるのかと思っていた。
「一目惚れ半分。
祭りの時、一人でフラフラ神社に行ってる優見て、なんとなくついて行っちゃったんだ。
絡まれてる優を見つけて、頭に血が上って、気がついたら助けに行ってた。
転校してきて、話していくうちにどんどん好きになっていって、これが恋なのかな、なんて思ったんだ。
あとは…祭りであった人にまた会えて、月並みな表現だけど運命、みたいなの勝手に感じちゃったんだよね」
自分から聞いといて呆然としてしまった俺を見て、夏木はフッと笑って言葉を続けた。
「ね、優。
優の気持ちが僕に向かなくても、
僕が優を好きでいるのは自由だよね?
…あとこれからも、友達としてでいいから…一緒に昼食べてもいい?」
そう言われて断れるはずもないし、断ろうとも思わなかった。
「もちろん!
俺も夏木と友達でいたいから」
そう答えると夏木は満面の笑みを浮かべた。
窓から差し込む光に照らされた笑顔は不純物がなくスッキリしていて、凄く綺麗だった。
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