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返事 2 (翔side)
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5限目が終わった後、優が夏木を連れて教室を出て行った。
おそらく昼休みの告白を断るためだろう。
断るため…
…断る、よな…?
優を信じてはいるが、不安が拭いきれない。
結局、二人の後をコッソリ付けてしまった。
ま、まぁ俺は優の彼氏だから!
知る権利あるから!
そう自分に言い訳しながら屋上の踊り場で話す二人を覗き見る。
「昼の…告白だけど……」
俯いていた顔を上げて、優が切り出した。
緊張した様子の優に、こっちまで緊張してくる。
「俺は夏木とは付き合えない。
夏木のことは好きだ。
でもそれは恋愛感情じゃない。
だから、ごめん。」
よかった…断ってる…
ホッと胸を撫で下ろす。
それが聞けて安心したし、覗き見はやはり良心が痛むので戻ろうとした。
しかし次の夏木の言葉で後ろに踏み出していた足はあっさり戻ってしまう。
「…翔のことが好きなの?」
…どう答えるんだろう…
優は恥ずかしいのか俺にあまり 好き と言わない。
俺から言って、俺も好き っていうのはあるんだけど、自分から言ったのは数えるほどだ。
優が第三者に対して、なんて答えるのか気になった。
「…うん、好きだ。
翔がいない世界なんて考えられない。」
ハッキリと言われた言葉が嬉しくて思わずその場にしゃがみこむ。
二人に見つかるんじゃないかと思うくらい心臓が煩く鳴って、しばらく二人の会話どころではなくなった。
「ね、優。
優の気持ちが僕に向かなくても、僕が優を好きでいるのは自由だよね?
あとこれからも、友達としてでいいから…一緒にご飯食べてもいい?」
「もちろん!
俺も夏木と友達でいたいから」
二人の話は終わったようで、俺は二人に気づかれないよう静かに階段を降りた。
”優の気持ちが僕に向かなくても、僕が優を好きでいるのは自由だよね?”
さっきの夏木の言葉が頭の中で繰り返される。
「…負けられないな…」
それでも、優は絶対に渡さない。
優が俺から目を逸らさないように、俺も頑張らないと!
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