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中岡大樹
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「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
同じウェイターをやっていた拓哉に伝えてトイレに向かった。
しかし教室を出た瞬間、廊下を行き交う人の視線を感じて、忘れかけていた自分の格好を思い出した。
正直慣れてきて意識してなかった…
せめて上着でも羽織ってくれば良かった…
取りに戻ろうかと思ったが混雑した廊下を歩いてまた教室に戻るのは面倒だし、トイレに行くだけだから、諦めてそのまま向かった。
女子トイレほどではないがやはりトイレは人で溢れていて、できた列の最後尾に並ぶ。
「桜田優?」
突然後ろからフルネームで名前を呼ばれて振り向くと、金髪長身のチャラい高校生が立っていた。
「…はい、そうですけど」
「俺のこと覚えてる?」
知り合い…?
元々人の顔とか名前とか覚えるの苦手ですぐ忘れるけど、中学のやつならさすがに分かるだろう。
小学校となると関わりなかった奴は忘れたけど…
「…ごめん、覚えてない」
「同じ小学校だった中岡大樹。
まぁ同じクラスになったことないし俺小学校時代すげえ地味だったから覚えてなくても無理ないなー」
うーん、あー、言われてみればそんな奴もいた…かも?
本当、この記憶力どうにかしないと将来苦労しそうだわ
てかこいつよく覚えてたな
「それにしてもその格好、異常に似合ってんな。そこらの女子より可愛いんじゃねえ?w
ファッションショー、見てたんだぜ?まさか知り合いだったとはなw」
うわぁ、あのショー見られてたとか最悪だ…
まあ今もこの格好なんだけど。
「そういや恋人いないって本当?」
「…おう」
「マジか!絶対彼氏いると思ったのに」
「え!?いやなんでだよ、てか彼女って選択肢はねえの!?」
「なんかなー。桜田、男を誘う妙な色気、てかフェロモンみたいなのがあったからさ!」
…なんだそれ…
本当なんなの?みんながみんな男に反応するわけねえじゃん。日本男児が心配になるわ
あんまり長話をする場でもないし時間もないので、さっさと用を足して
「じゃあ俺シフト入ってるから!」
と別れを告げた。
「じゃあなー」と手を振る中岡に見送られながら教室に戻った。
この後の中岡の不敵な笑みに、誰が気づいただろうか。
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