アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
22
-
カランカラン、
「いらっしゃいませ」
久しぶりに“いらっしゃいませ”って言ったな。
「あ、君はマスターが辞める前にバイトしていた子だね」
店に入ってきたのは、常連のおじいさんだった。いつもオシャレなハットをかぶっている、ダンディなおじいさんだ。
「はい。お久しぶりです」
「君が辞めてからさみしかったよ。また、この店で働くのかい?」
「今日は私がお手伝いを頼んだんです。いらっしゃいませ、玄さん」
マスターがカウンターの奥から出て来た。
「月弥(つきや)くんが?頼んだのかい」
「はい。今日、試しにランチタイムにプレートを出してみようかと思ってまして。それで理汰くんにお手伝いを」
「っえ、そうなんですか」
だから、手伝ってほしい、なんて言ってたのか…知らなかった。
「あ、そっか!伝えてなかったね…ごめんごめん」
「ランチはじめるんですね…あ、すみません、お待たせしてしまって!こちらへどうぞ」
「あぁ、悪いね」
常連のおじいさんを、いつも座っていた席に案内した。
「こちらの席でよろしいですか?」
「よく覚えていたね。ありがとう」
「いえ。ご注文お決まりでしたら…」
「じゃあ、いつものもらおうかな」
あれ、おのおじいさんの“いつもの”ってなんだっけ…?
と、とりあえず分かりましたって言っておこうかな…?
「えっと…かしこまりました。」
カウンターの中にいるマスターに駆け寄って、小さい声で
「あ、あのマスターあちらの方のいつものってなんですか?」
と、聞いてみたら、
「玄さんの?いつもの?…あはは、理汰くんからかわれちゃってるよ」
「へっ」
「玄さん、毎回来るたびに違う注文するからいつもの、なんてないよ。もう一回聞きにいってみな」
「か、からかわ…」
「理汰くん、反応がいちいちかわいいから」
「……マスター、」
「あっ、ほら早く聞いて来て」
むっとしながら、もう一度玄さん?の座るテーブルに向かった。
「あ、あの。申し訳ありません…えと、ご注文を…」
「わはは、ばれたか。カフェラテを頼むよ」
からかわれてたのかーーー!
「マスター、カフェラテ一つ…」
「はい、了解」
マスターまでニコニコ…いやあれはニヤニヤだ…むー…
開店してから間もないのにも関わらず、店内は常連らしいおじいさんやおばあさんで席が半分程埋まっていた。
だからといって、注文が多いわけではないから特別忙しいわけでもなかった。
「マスター、」
ちょうど来客が落ち着いて、カウンターにお客様もいなかったから、マスターに声をかけた。
「ランチってどんな感じなんですか?」
「ん?オムライスとパスタだよ」
「へぇ」
「デミグラスソースと、ホワイトソースの2種類とミートソースとたらこの2種類。まぁ、今日ためしてみて、大変そうだったらまた考えるし」
「マスター1人でって結構大変ですよ」
「そうだよね、っと、」
カランカラン
扉が開く音がした。
「あ、すみません行きま…「いい。奥行って」」
「え」
「いいから、早く」
扉を背を向けていたおれは入ってきた人が見えず、なんでマスターがそんなに焦っているのか分からなかったけど、素早くマスターがおれの腕を引いてカウンターの奥に押し込んだために気づいたらお店とお家を仕切るドアが閉められていた。
「え、ちょ、なんで?」
思わずドアに張り付いてしまった。
…あ、このドアの小さい窓から向こうが見え………
うそ、
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 39