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昨日の朝、ワイングラス1杯分の血を飲んでから今まで1滴も血を飲んでいない。そのせいか、酷く喉が渇いていて、すぐさま潤したいと思った。帰れば、思う存分に血は飲める。でも、帰りたくなんてない。今日は、奴が俺の家にやってくる日なんだ。奴が俺の家にやってくる時は、良い事なんて1つもない。俺達の行動時間とも言える夜から、俺達が最も嫌いとする太陽の日差しが強くなる昼まで愚痴を聞かされる。そんなのはごめんだ。
だから、何処かに良い餌がないかと探していた。そして、今までに嗅いだ事のない甘く、美味しそうな匂いが俺の鼻を掠めた。その匂いを辿り歩いて行くと、1匹の人間が俯きながら歩いていた。どうせ、少し飲ませてもらうだけだから何も言わずに血を吸いにいけば良かったものを、俺は声を掛けてしまった。
焦ったような声で、俺に血を飲ませる事を断固拒否する人間。たった少し貰うだけだ。なのに何故それほど嫌がるのか理解できない。さっさと俺に血を飲ませたら解放してやるのに。これだから、人間は面倒な生き物なんだ。
さっさと、無理矢理飲んでしまおうと、そいつの顔を俺の方に向かせるように反転させた。それがきっと、俺の人生最大の間違い。
全身、ボロボロになった人間に何故俺は目を奪われたのだろう。顔にも、服の下から覗く肌にもいたるところについている傷。ところどころから出ている血を舐めてしまえば良かった。少しでも飲めば家に帰るぐらいの体力は保てる。だが、俺はそうしなかった。しかも、3日も待ってやるなんて...死を覚悟するのも同然の事だ。
「おい、お前の名は?」
「や、山下 司(やました つかさ)。」
「俺はミカエラ。ミカで良い。」
「...ミ、ミカは本当に吸血鬼なの?」
「あぁ、そうだ。」
「じゃあ、血を飲まないと死ぬ...とか。」
「1か月は飲まなくても平気だ。」
「え、じゃあ...3日じゃなくても「無理だ。」...そうですか。」
何だ、コイツは。そうあからさまにも落ち込まれる姿を見ると、期間を延ばしてやりたくなるだろ。俺も、ついに頭がイかれたのかもしれない。
「...あと4日だ。それ以上は無理だからな。」
「...たったの1日ですか。」
「延ばしてやったんだから文句言うな。それとも、1日縮めるか?」
「いや、4日で十分です!!...あの、さっきから僕のお菓子食べすぎじゃないですか?」
「目の前に置いてあるという事は、食べても良いと言う事だろ。」
「...酷い。」
「何か言ったか?」
「いえ、何も。」
...以外と、下界の食べ物も悪くはないな。
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