アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お別れを
-
「...ミ、カ。」
「ちゃんと、車が来てないか確認しろ。」
「ミカ。」
「何だ。」
「いなくならないで...。ずっと、ずっと、一緒に居てよッ。」
だから、そんな事を言うな。俺に抱き着いて泣くな。
「ミカ、あのね、僕ッ、ミカの事「言うな。」...何で。」
「...やっぱり、記憶を消すべきだったな。」
そう言って、目を俺の手で...視界を隠す。
最後に見るのは笑顔が良かった。笑ってお別れをしたかった。なのに、何でお前は此処まで残酷なんだ。
段々薄れていく俺の体。きっと、此処に残るのは俺が身に纏っていた物だけだろう。...最後に、本当に最後に、俺の希望を。
「...ミカ、何で透明になっていくんですか?1か月って言ったのに。」
「あれは嘘だ。」
「何でッ...。今から、僕の血をあげるからっ。」
「今から飲んでももう手遅れだ。なぁ、司。俺が居なくなって、記憶をなくしてもこのネックレス持っててくれるか?」
「...居なくなるなんて言わないで。ずっと、一緒に居て...。」
「悪い。それは無理だ。」
着けていたシルバーのプレートのネックレスを外し、司の首に着けた。
最後の最後まで嘘をついた俺を、許してくれるか?人間に恋をした馬鹿な吸血鬼を。
「...キスしても良いですか。」
「良いですかじゃなくて、したいんだろ?」
「...して下さい。」
涙をボロボロとこぼしながら、俺にキスを迫るコイツも大概馬鹿な人間なのかもしれない。でも俺はそんなお前に恋をした。今まで一度も何かに依存したことがなかったのに、それが嘘かのように、お前に...司に依存をした。
見えない手で、そっと抱き寄せるかのようにして俺達は初めてのキスを交わした。
「...ミカ、大好きです。」
そう言って、最後に見た司は...今までで一番愛おしかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 11