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巻然~赫曄~其の壱
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「こんの、阿呆たれ!馬鹿者!変態!」
客間についた途端、長義がぽかぽかと俺を殴りながら非難してきた。その拳を避けて手首を掴み、抱き寄せると途端に大人しくなる。髪でよくは見えないが、顔を真っ赤にして恥じらっているらしい。
「文句はあとで聞くから。折角鄭大人が部屋を貸してくれたんだ。……長義、抱かせてくれよ」
「……っ!」
「今日は声を抑えなくていいからさ、綺麗な声、聞かせてくれ。な?」
「阿呆たれ!この間のそ、その、なにで、吾がどれだけいたたまれなかったか!瑶元殿の視線がどれだけ痛かったか!」
「あー……その、あれはー……、済まなかった」
初めて肌を重ねた時に、壁が薄いのに俺は調子に乗って長義を啼かせてしまった。当然声は他の奴らに聞かれていて、からかわれるわこういうことに対して否定的な瑶元殿からは凄まじい目で睨まれるわで散々な目にあった。それ以来『おあずけ』を食らっている。まあ、確かに俺のせいだから何も異論をとなえられないのだが。
「叔成」
「……ん?」
「吾とて男だ」
「知ってる」
「次は、抱かせろ。仕方ないから、き、今日は受け入れてやらんでもない」
ふいとそっぽを向いてそんなことを言う長義に思わず笑みが零れる。
……俺が長義に組み敷かれ、猛ったものを受け入れて体内に欲望をぶちまけられる。あの長い指で体を嬲られ、啼かされる。そんなことをありありと想像してしまった。特にその想像に嫌悪感は抱かなかったし、なぜだか背中がぞくぞくした。
長義の乱れようを見て、そんなにいいのならそっち側も試してみたいと思っているのも確かだ。
「……わかった」
本心を押し隠し渋々承知するように言う俺は狡猾だろうか。
ふっと笑った長義の髪を掻き上げた。毎度のことながら、整った顔があらわれてうっとりさせられる。本当に、長義が外見に頓着する性格じゃなくてよかったと思う。こいつのことは、俺だけが知っていれば十分だ。
「叔成、抱くのならお前が脱がせろ」
「はいはい、仰せのままに」
前科がある分俺の方が立場が弱い。一枚一枚丁寧にはがしていく。さすがに羞恥心があとで押し寄せてきたのか、俯いて体を手で覆ってしまう。白い肌を白い手が覆うさまがまた扇情的で艶めかしい。
俺も手早く着衣を脱ぎ捨てる。長義を寝台の上に誘って、何をするでもなく抱きしめた。長義の体温がとても心地よい。
「叔成」
「何だ?」
「……あたたかい、な」
静かに、幸せそうに言う長義に思わず俺の口角が上がる。離れ難いが今日の目的はこれではない。せっかくおおっぴらに長義を啼かせられるこの機会を逃す訳にはいかないのだ。
優しく肩を押せば、そっと寝台に倒れこむ。俺を見上げ嫣然と微笑む長義は本当に綺麗だ。顔を近付けそっと唇を触れ合わせる。啄ばむようなそれが深いものに変わるのにさして時間はかからなかった。
互いを貪り合い、唇を離せば長義は頬を紅潮させている。くすりと笑うとふいと顔を逸らされた。
本当に、素直じゃない男だ。
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