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変わらない安心
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大きな音を聞いた。何かが倒れるような大きな音を。
「あぁーあ。もう来ちゃったのかよ…つまんねぇの。」
空が音のした入口の方に向かって声をかける。
……誰か来たのか?!?!ヤバイ!!!俺とかほぼ全裸状態だし、誰かに見られたらマズイだろ!!!!
そして、少し離れた入口の方から聞こえたのは思いもしない人物の声だった。
「……やっと見つけた。」
…………え……し、おん……?
空は俺の身体から手を離して獅音に問いかける。
「どうやって見つけ出したんだよココ。」
「……お前が真白の携帯にかかった時、響くような声がしたから倉庫とかだろうなって予想はついたし、こいつが家から出るとすれば買い物だろうからいつも行くスーパーの近くの倉庫とかを片っ端から探して回ったんだよ」
「なるほどな…大切な幼馴染ちゃん取り返しに来たってわけだ。」
二人が何を話してるのかよく頭に入ってこない。ただ獅音が目の前にいる、それだけで俺は安心して力が抜けた。
バキッ!!!!!!
獅音がスタスタと空のいる方へ歩いて行ったかと思うと、勢い良く空の顔を殴った。
「……い"ぎっ!!!!!!」
殴り飛ばすようにして空を殴ったあと、堪えるように拳を震わせて歯をくいしばっていた。
「………んとはお前のこと殴り殺してぇけど、あの頃みたいに、また我を忘れて殴りにかかるほどガキじゃねぇ、今はてめぇにかまってるよりあいつを連れ帰るほうが先だから…だから一発だけで我慢する。………でも次はねぇぞ…次こいつに髪の毛一本でも触れてみやがれ、そんときはガキだろうがなんて言われようが、絶対にてめぇのことぶっ殺すかんな。……二度とこいつに関わんじゃねぇ!!!!!!」
獅音は、その怒りをぶつけるかのようにして、近くにあった杉板をダンッ!!!!!と凹ませるほど強く殴った。
獅音が俺の方に向かって歩いてくる。会えたのは嬉しかったけどこんな姿を見られるのは死ぬほど辛かった。あぁ、もう完全に嫌われた、そう思うと涙が止まらなくって嗚咽をもらして泣いた。
そんな俺の目の前に来て腕を伸ばして優しく抱きしめて、幼児をあやすようにリズムよく背中を叩く。
「…そんなに泣くなよ。どうしていいか分かんねぇだろうが。」
……なんで…なんで
「……なんで、なんで…ひくっ…なんでそんなに優しくすんのぉ?…ぐずっ……こんな俺み、て、幻滅しただろぉ、嫌いにたったろぉ!!?……ひぐっ…汚いって突き飛ばせよっ!!!!!」
自分でも言ってて息が詰まりそうなくらい苦しくなる。
「……誰がそんなこと思うか馬鹿。そんなこと思ってんなら助けに来たりするかよ…頼むから、そんなこと言うな。」
獅音は俺の腕の縄を解いて、自分が着ていたパーカーを俺に着せて、中途半端に履いていたズボンを履かせると、片膝をついて背中を見せてきた。
「………え…」
「あ?…え、じゃねぇよ。おんぶしてやっからさっさと泣きやめ!!トロトロしてっとおいてくかんな!!…………帰るぞ」
広い背中に安心する。泣き止めとか言われたけど、俺は幼稚園児じゃねぇよ…好きなやつからこんなことされて泣き止めとか無理だろ……ほんと…なんでお前はそんなにカッコイイかな…
自分の感情より俺のことを優先してくれたこいつ。そんなこいつの事が好きになってる俺。
中2の頃とは違うところもあるけど、広い背中に安心するこの気持ちはあの頃と変わらないような気がした。
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