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GENESIS -創世記- 更新再開。右の注意書きを最後まで読んでください。
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「あの…焼香が済んだのならもう…。」
「あぁ、失礼しました。ではこれで。」
佐伯と名乗った男は俺に向かい一礼してドアの方へ向かう。
なんだろう。
この男、すごく嫌な感じがする。
確信はない。
だけど、この男は兄の死と何か関係があると思えた。
「あの、…母が貴方を呼んだんですか?」
「いえ、貴方方のお母様に無理を言って通して頂きました。侑希と君に…逢いたかったから。」
俺?
「俺に…ですか?」
「えぇ。…言うべきなのかどうか、すごく悩みましたが……やはり君には伝えた方が良さそうですね。」
「……なんですか?」
『聖陵学園には来るな。絶対に。』
突如佐伯は、人が変わったかのような口調でそう告げた。
その豹変に驚き脳の動きが鈍る。
理解するのに時間がかかる。
だから、つまり、それは………。
「それって……。」
「それでは、失礼致します。」
佐伯は、にっこり笑みを浮かべ、ここに来た時と同様に何事もなかったかの様に物腰柔らかい口調でそう告げドアを抜けて行く。
どう言う意味だよ、それ。
「ちょっ….と待てよ、アンタ!どう言う意味だよ!…なんか知ってんのか!兄貴の死の原因を!」
俺の声は間違いなく佐伯に届いている筈なのに、佐伯は振り返る事も返事をする事もなく玄関の方へ出て行く。
ふざけるなよ、このまま帰すかよ!
佐伯を追いかけ、玄関の扉を掴んでいる佐伯の腕をとった。
「なんだよ、逃げんなよ。…お前が兄貴を…?」
「………」
「なんとか言えよ!」
「…彼は自殺したのでしょう?…僕が殺した訳では無い。」
「原因がお前なら、変わらねぇよ。お前が殺したんだろ!」
「僕じゃないよ、本当に。…でも、君には聖陵学園にきて欲しく無い。」
「いじめ、とかか?」
「そんな子供の様な事しないよ。……でも、あえていうなら君の兄は……『絶望』、に、殺されたのさ。」
「は?」
「これで、失礼します。僕がここにきた事は誰にも言わないで下さい。」
佐伯は急に腕を振って俺の腕を外し、さっさと出て行った。
なんだよ。
兄貴は…。
「………リョウちゃん?…大きな声を出してどうしたの?」
「母さん。あの、佐伯って男が…。」
「佐伯さん?リョウちゃんのお友達でも来ていたの?」
「え?……だってあいつ……。いや、何でも無いよ。」
「…心配させないでね。あと、悪いんだけど、お兄ちゃんのお部屋頼んでもいいかしら?母さんはまだ、入れない、見たい。」
母さんの瞳からまた涙が流れ落ちた。
「……大丈夫だよ、母さん。」
そう言ったとたん、母さんは子供の様に大きな声を上げて泣き出した。
父さんがあわててリビングから出てくる。
母さんはもう、ダメかも知れない。
あの男は何だったんだろう…?
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