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自覚
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「蛍!誕生日おめでとう!」
家に帰るとなぜか兄ちゃんが帰って来ていた。
「なんでいるの?」
「なんでって…蛍の誕生日を祝うために帰ってきたに決まってるじゃないか。」
「わざわざ…?…ありがとう。」
兄ちゃんはこの後も構ってきたけど僕はさっきの山口の笑顔で勝手にドキドキし始めた胸を抑えきれなくてそそくさと自分の部屋に籠った。
せっかく来てくれたのに、ごめん兄ちゃん。
ドキドキして、なんだか息苦しい。
落ち着こうと思っても山口を思い出してまた体が熱くなる。
「蛍ーっ?具合悪そうだったけど大丈夫かー?」
突然聞こえた兄ちゃんの声とドアをノックする音にビックリして体がはねた。
「に、にいちゃ、だいじょぶっ…」
いきなり話し出そうとしたら噛んだ。
「え、蛍?どうしたんだ?入っていい?」
兄ちゃんはさっきの僕の声を苦しくて絶え絶えの声と勘違いしたらしい。
ドアが開いて兄ちゃんが入ってくる。
「蛍!顔、真っ赤だぞ!?風邪か?」
「え…?」
山口のこと考えてただけで顔が赤くなったって…。
やっぱりおかしくなったかな。
「兄ちゃん、あのさ、…」
全部言ってみると兄ちゃんは少し驚いたような顔をしていた。
「忠のことを考えるとドキドキするとか…。それ好きってことじゃないの?
というか気づいてなかったのか。こっちは普段笑わない蛍が忠といる時は楽しそうにしてるから気づいてたんだけど。」
「はぁ!?僕が山口の事好き!?ありえないよ!男同士だし!」
「ありえなくはないよ。蛍、もう一度、忠と向き合ってみ?」
「うぅ…分かったよ…!」
なんだかんだで流されて僕はこれから山口の家に行くことになってしまった。
夜道を歩いて山口の家に向かう。
山口は僕の誕生会で遅くなるから、と今日は嶋田さんとの特訓を入れていなかった。
きっと家にいるだろう。
見慣れた山口の家の前に立つ。まだ電気がついている山口の部屋をみて、僕は電話をかけた。
「山口?起きてる?」
『ツッキー!起きてるよ。なにか用事?』
「そうじゃないんだケド…。あのさ、ちょっと外に出てこられる?今、山口の家の前にいるんだ。」
そういうと、山口はすごい勢いで外に出てきた。
「ツッキー!どうしたの?こんな時間にくるなんて珍しいね。」
至近距離でみる山口の顔にまたドキっとした。顔が赤くなる。
山口にこの顔は見られてしまっているだろうか。
意を決して僕は口を開く。
「山口、ちょっと聞いてほしいことがあって……」
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