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-黒澤side31-
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『さようなら』
7年も想い探し続けた玉置の顔はあまりにも冷たく、悲しそうだった。居場所はわかったが、これ以上真相を突き詰めるのは危険すぎる。……というか、俺が怖い。
一体、玉置に何をした?あそこまで避けられるほど傷付けるような事をしたのか?
何も身に覚えがないことが、より一層焦燥感を駆り立てられる。
またあの頃の笑顔を見せてくれるならなんだってする。それほど俺は、まだお前のことを……。
「はぁ……7年以上の付き合いになるけど、史上最強に死にそうな顔してるわよ。大丈夫なの?あとテストの採点、そんなぼんやりしてるから正解部分まで全部チェック付けちゃってるわよ……これだと全員0点じゃない、しっかりして?」
「ああ……もう俺はダメだ。燃やして捨てるなりなんなりしてください」
「わーい!じゃあお言葉に甘えて食べちゃっていいかしら?」
「……」
「やめてそのゴミを見るような目!!!せめてツッコミくらいしてくれないかしら?!一番傷つくやつよ!?」
いつものように冗談じみて話しかける白鳥先生も次第に俺の表情をまじまじと伺い、眉間に皺を寄せて黙り込んだ。
「何があったか知らないけど、今回相当きてるみたいね。でも昔からプライベートと仕事を分けられないのはクロちゃんの悪いとこよ?」
「はい……そうっすね。自覚してます。最低っすよね……教師失格です。人間としても終わってる、か。はは、はははは。」
どんどん泥沼の深みにはまる俺を、99%の奴はメンヘラジジィと罵って突き放すだろうこの状況で、この人だけはいつも見捨てずにいてくれる。
「……いい加減にしなさいよ。」
「白鳥せん……」
「アンタほんっっっとに女々しいわね!?どーーーーーーーせまた明ちゃんの事でしょ!?わかんのよ女の勘舐めないでよね??はあ……鬱陶しいったらありゃしない!!最強に鬱陶しいわ。そんなんじゃどーせ上手くいったところでこの先愛想尽かされるわよ!!」
……大層、口は悪いが。
「アンタそんなんじゃなかったでしょ!!どんなことにも物怖じしない男らしいクロちゃんは何処に行ったのよ?!あんまり私をガッカリさせないでくれる?!もう我慢ならないわ。アンタの根性叩き治してあげる。今日は22時に『スナックチェリー』集合。これ強制よ?分かったわね??」
「スナック……チェリーって……まさか!!!」
「今日という今日は来てもらうわ。絶対よ。来なかったらどうなるかしらねぇ……?」
「……いやでも、そんな急には」
「夜蜘蛛に本気で喰われたいのかしら??」
「行きますお願いします喰うのだけはやめてくださいお願いします……。」
……説明しよう。スナックチェリーとは、俗に言うオカマバーの店名である。
いや、オカマバーなんてそんな温いもんじゃねぇ。スナックチェリーへと本気で引きずり込まれそうになったことは幾度とあるが、あそこは地獄だ。
知る人はソレを蜘蛛の巣と呼び、スナックのママ、いやバケモンを初めとしたメンバーの事をみな“夜蜘蛛”と呼ぶ。入ったら最後、ノンケはタダでは帰れねぇ。オカマ蜘蛛の巣なのだ。
校内でも王子様と言われるだけあって、女装をした白鳥先生はなかなかにモデル顔負けなのだが、それに気を許すが最後…オカマ4人からみっちり説教+セクハラコースだ。
「……どこが“ハクチョウ”だよ。」
「ァン!?何か言ったかしらぁ????」
「……いいえ、なんでもないです。」
……感傷に浸る間もなく、俺は更なる試練を受けることとなった。ああ、生きて帰れるだろうか。
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