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-黒澤side13-
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それからというもの、玉置との会話はガチで挨拶、授業中、必要最低限の連絡事項の伝達のみとなり、俺は軽く凹んでいた。
毎日続いていた交換日記も、次第に週に一度へと減少。すれ違ってもぎこち無い挨拶を交わすだけで、玉置は何故か視線を落としてしまい、心做しか俺を避けるようになってしまったのだ。
・・・知らぬ間に、何か気に触るようなことをしてしまったのだろうか。
放課後の職員室にはもう白鳥先生しか居らず、つい気が緩んでしまい、机に突っ伏したまま今までのことをサラッと話してしまった。
この人ならその道の人だし・・・とかそんな軽い気持ちで話してしまったが、顔を上げたときにはゲンナリとした白鳥先生がいた。
「クロちゃんのことは初々しくて可愛い子ねーって思ってたけど、その顔で相当女々しいのね・・・ちょっと引いちゃったわ。」
「オカマに女々しいって引かれる日が来るなんて・・・はぁ・・・世も末だ・・・。」
「ちょっと!!心の声ダダ漏れよ!?失礼すぎ!!!」
机に置いていた俺の指し棒で思いっきり頭を叩かれ、俺はもう一度大きなため息を吐きながら机に突っ伏した。
「藤岡先生にちょこーっと嫉妬して?指切りげんまんしただけでドキドキして?話してもらえなくなっただけで凹んで・・・これって俺、もしかしなくても・・・。」
「・・・間違いなく恋煩いね。」
腕を組んだまま白鳥先生は呆れたようにそう言い捨てた。おいおい、この顔でこのナリで恋煩いってさすがに・・・。
「うっわ・・・冗談で言ったのに顔真っ赤じゃない!?ヤダヤダ、思春期の男子高校生じゃないんだから・・・わぁ寒い寒い。」
「あああああああ・・・わかってますとも俺が今どんだけキモイこと言ってるか自分が一番わかってますとも!!!あああ鳥肌が立つ・・・。」
「クロちゃんちょっと落ち着こっか・・・ここ飲み屋じゃないの!しょーくーば!」
頭を抱えて悶えていると、見兼ねた白鳥先生が俺の肩をつかんで真面目なトーンで話し始めた。
「わかってるとは思うけど、生徒に手を出すのは本当に危険よ。・・・この際はっきり言うけど、藤岡先生がああやって生徒囲えるのは有名な画家様だからよ?」
「・・・そうなんっすか?」
「当たり前じゃない!あんなのはっきりいって依怙贔屓だからね?・・・モンスターペアレントなんかに知られたら新人なんて即袋叩きにされるわよ。現に生徒との交際疑惑浮上しただけで辞めちゃった職員もいるし、ほんとリスキーなんだから。」
ただでさえ保護者とのラポート形成は難しいというのに、これでは自爆するのも時間の問題だなとゾッとした。
そう考えると、玉置の方がよっぽど冷静で大人だ。我ながら情けない・・・。
「・・・ところで話が変わるけど、クラスでイジメの事実があったら書く書類、入職時にクロちゃんも説明を受けてるわよね?」
「はい・・・それが何か・・・?」
「今までファイリングしてきたイジメに関する報告書をちょこーっと拝借したんだけど。・・・見てみなさい?」
スッと手渡されたのは、ちょうど2年前の今頃の報告書で、どうやら担任をしていたのは藤岡先生だったようだ。
・・・そして、その報告書に書かれていた名前は。
「・・・まさか、玉置?」
「そう。・・・あの人が虐められていた明ちゃんを囲ったってのは事実みたいね。そのおかげで、イジメが収まったのも事実。」
「そう、だったのか・・・。」
藤岡先生の口から聞いたためあまり信用していなかったが、これで紛れもない事実だということが分かった。
「本当だったんですね・・・俺にはそんな事があったなんて一言も話してくれなかったのに・・・。」
「まぁナイーブな部分だからね。誰にだって一つや二つ触れて欲しくない事ってあるじゃない。・・・それよりも、問題はここからよ。」
急にキリッとした男顔になったかと思うと、白衣を腕まくりして、白鳥先生は教師のように俺の指し棒を持って推理を始めた。
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