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-黒澤side28-
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「おーら、お前ら席につけよー。」
ドアを思い切り開けても静まる雰囲気がないガキ共に、早々からゲンナリした俺は、そいつらを睨みながら教卓前まで重い足を運んだ。
「えーっと、始業式でも発表があった通り、3年B組の担任になった黒澤温人だ。よろしく。」
『ラッキー黒澤じゃん。あいつ校則緩いからな。』
『マジー?!明日からピアスつけてこー。』
野次馬どもが俺を煽るように声を挙げている中、静かに着席しているのは、the優等生くんの片井守と……熟睡している金髪頭の柳原真尋か。その他はある程度グループが出来ていて、このクラスで孤立しているのはその2人だけのようだ。
本来ならそういった者同士を上手くくっつけてやれば解決するケースもあるが……まるで正反対だな。流石に無理がある。
「あーあと連絡事項だが…柳原は留年生だ。既に知っている奴もいると思うが、同じクラスメイトとして仲良くするんだぞ。」
そう言うと、クラス中がざわめいて柳原の方に注目する。それでもなお、眠っているのか机から顔をあげない柳原を片井は必要以上に見つめていた。そんなに物珍しいのだろうか?
「じゃあ今から教科書配布して、明日からの時間割説明したら終わりだから自由解散な。」
『黒澤~生徒全員の自己紹介とかねぇのかよ~女子の名前知りてぇだろ~?』
出しゃばりがそう言うと、クラス中がどっと湧いて更にうるさくなる。……ああめんどくせぇ。
「名簿見りゃわかるだろ。はい、解散な。」
出席簿でそいつの頭を2回叩くと、ふとあいつの顔が思い浮かんだ。
『おんちゃん先生……』
「……っ、くそ。」
仕事に私情を挟みたくなかったから担任から外すよう頼んでいたのに、校長は一体何を考えてんだ。無性に腹が立って頭を掻きながら廊下に出ると、何故か白鳥先生が教室の中を覗いていた。
「……なんっすか盗み見して。」
「いやぁ貴方が担任として教卓で話してるとこ久しぶりだから一目見ようと思って!んふふ。」
「人の事いう前にアンタも仕事してくださいよ……。」
「……あらっ?まひろちゃん誰かと話してる??」
俺の言葉は完全無視で、金髪頭の方に注目する白鳥先生。……この人がここまで生徒を気にするのは玉置以来じゃないだろうか。
「医者の息子と話してるな。」
「これは想定外ね……面白くなってきたじゃない。」
白鳥先生は顎に手を当てて、不敵な笑みを見せた。……この人がこの顔をした時は何かを確信した時だ。
「このクラス、意外と貴方もいい刺激を貰えるんじゃない?そう思うわ。」
「俺が欲しいのは平々凡々とした生活ですがね。」
「うわ~昔のあなたがみたらガッカリね。……んじゃまぁせいぜい頑張ってね、クロちゃん!」
手をひらひらさせながら華麗に廊下を歩くと、黄色い声を挙げる女子生徒に囲まれながら白鳥先生は去っていった。
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