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お弁当
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お弁当(晴くんはパン)を食べ始めると、晴くんはポツリと言った。
「…俺んち、母親いねーんだよ。
昔っからコンビニで買って食べることしかしてなかったから、料理なんてできねーし…。」
お母さん、いないんだ…
僕は順風満帆な家庭で育ったから、そんな苦労は味わったことがないし、いつも温かい料理が出てきた。
「…ね! 口開けて!!」
「は?なんで…」
「いいから!」
ゆっくりと開かれた晴くんのお口に、僕のお弁当の野菜炒めを突っ込んだ。
「!?」
「良く噛んで下さい!」
言われた通りにもぐもぐと咀嚼する姿はなんだか可愛い。
晴くんがごくりと飲み込んだ。
男の子らしい喉仏が上下に動く。
「…うめぇ」
「ほんと!? それね、僕が作ったんだよ!
おばあちゃんが送ってくれた野菜使ってるんだ!」
「…お前、もしかして自分で作ってんの?」
「いつもじゃないんだけどね、大体は僕がつくるよっ
お母さん、早起き大変そうだからさ、力になりたくて覚えたんだ!」
「…すげえな」
「そんなことないよっ
ねえねえ、僕、考えたんだけどね、明日からは晴くんのお弁当も作ってきてもいい…?」
晴くんは驚いたみたいでおっきく目を見開いた。
「まじで…?」
「うんっ! パン食べてる晴くん見てると、僕、悲しいから…」
そう言うと、晴くんは黙り込んでしまった。
め、迷惑だった…?
そう思ってチラッと晴くんを伺うと。
晴くんは。
極上の笑みを浮かべていた。
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