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お父さん
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「お前さあ…、父親が何の仕事してるかって知ってんの?」
晴くんは唐突に切り出してきた。
「詳しくは知らないけど…、人を助ける仕事だとか言ってたかな…。 どうして?」
「…いや、別に」
?
変なの。
「晴くんのお父さんは?何してるの?」
「あー…俺、両親いないから」
「!?」
いないって、どういうことだろう。
離れて暮らしてる、とか…?
それとも、もう…
何にせよ、深い事情がありそうで、聞いちゃいけないような気がした。
「あ、の、ごめんね…
無神経な質問しちゃって…」
「いいよ。気にしてるわけじゃない。
……昔、インターネットを使って商売して、めちゃくちゃ儲かってたかな。
学校とかに、寄付、したりしてたし…」
「そうなんだ!じゃあ、優しいお父さんなんだね!!」
そう言うと、何故か。
晴くんは。
とても悲しげで。
今にも泣きそうで。
何よりすごく怒ってるような。
とにかく、嫌そうな顔しながら。
それでも、
「…そうだな」
と、笑ってみせた。
僕は、何かあることを直感しながら、でもやっぱり聞いてはいけない気がして、曖昧に笑う。
何となく、微妙な空気が流れて息苦しい。
その空気をかき消したのは。
コンコン、
というノックの音だった。
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