アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
奏里の挑発 北村side
-
「どうしたのかしら? 何か御用!?」
『あっははー、しらばっくれちゃって!』
それは、正にこの街を取り仕切るいわゆるヤクザグループ、『シロカワ』次期トップの、鶴の一声。
『 あたしのお兄ちゃんを、返せ 』
どすの効いた声に、ビリビリと扉が震えた。
…いや、震えたのは、扉だけではなかった。
何故?
体の震えが、止まらない。
藤堂が息を飲む音が聞こえた。
「そ、そのうち返すわよ…!!
こんなのいらないもの!!!」
体だけでなく、声も、か。
『今すぐ、よ。北村。』
「…あんたの言うことに、素直にハイハイなんてきくわけないでしょう!!!」
怖さゆえか、怒りゆえか、半狂乱になって絶叫する。
「なんなのよ!!
あんたばっかり…!!!
ちょっとリーダーの素質があったからって、お父様に気に入られて…ッ!!!!
私は!!使えない子なんかじゃない!!」
『馬鹿ね、使えるとか使えないとか、そんなのあんたが決めることじゃないよ。
…それに、私にリーダーの素質なんてなかった。』
「あぁはいはい!私が使えないだけってか!!
分かってんのよそんなの!!!
お父様のお話きいてればさあ!!」
『それで?
あたしのお兄ちゃんをシメて、あたしを脅せばお父さんの評価も変わると思った?
あたしなんて大したことないって、使えない奴だって、見下したかった?
…でも残念だね、あんたの父親は、あんたのことを使える使えないで判断してるわけじゃないみたいよ』
「…は? 論外ってこと?
…そうですか!
私がお父様に愛してもらうことは一生無理だから、さっさと諦めろって、そう言いたいわけね!?!?」
その絶叫に返ってきた答えは。
『そうじゃない。 お前は大きな勘違いをしておる』
答えたのは、奏里の声、ではなかった。
…それは、
「お、おとう、さま…?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 104