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メリークリスマス!4
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コートを着て外に出る。
時間も時間だし、外はもう真っ暗。
どこに行くのかはわからないけれど、とりあえず晴くんについて行くことにした。
ハアッ、と息を吐くと白くなった。
手袋とマフラー、つけてくればよかったかも。
急いでたからなあ…
チラリと晴くんを窺うと、晴くんもマフラーをしていなかった。
手はポケットに突っ込んでるから、寒くは無さそう。
人気の無い冬の住宅街はやけに静かで、お互いの足音だけが響いた。
無言でも気まずくは無くて、少し照れ臭い気分のままひたすら歩く。
ちょっとすると公園があって、入ると晴くんはドーム型の遊具の上に腰を下ろした。
僕もそれにならって腰を下ろす。
「…メリークリスマス」
「メリークリスマス。
ふふ、晴くん言うの3回目なんじゃない?」
「そうだな、一年にこんなに言ったのは初めてだ…元々祝ったりしねぇし」
「晴くんクリスマスとかバレンタインとか、興味無さそう」
「まぁな、女子の誘いが多くて毎年辟易してた。
むしろ嫌いだったよ」
「そっか…」
いっぱい、誘われるのか。
胸がツキンと痛んで、うまく反応を返せずに黙りこむ。
少し気まずい雰囲気が流れた。
「だから、こんなに楽しいクリスマスは生まれて初めてだな」
「…え?」
そう言うと、晴くんはポケットをゴソゴソと漁って小包を取り出した。
「…ん。」
「…ん?」
「受け取れよ、…クリスマスプレゼント」
「………えっ!?」
驚きすぎて硬直していると、ほら、ともう一度促されて小包を手に取る。
「あ、開けていい?」
「…おう」
開けると、細長くて綺麗なフォルムの薄べったい棒のような何か。
先にはチャーム状の綺麗なステンドグラスがついていて、街灯に透かすと七色に光った。
「きれい…。ごめんね、これ、なぁに?」
「ブックマーカーってやつ。
本に挟んで使う、しおりみたいなもん。
確か、本読むの好きだったよな?」
「うんっ!うわぁ…
ありがとう…すっごいきれい……
絶対大事に使うねっ!!
本当にありがとう…嬉しい」
オシャレな人はプレゼントまでオシャレなんだなあ、なんて思ってニヤけながらしばらくブックマーカーに見惚れていて、ハッと気付く。
「あっ…、僕、クリスマスプレゼントとかなんにも用意してないっっ」
「はぁ?…いいよ、そんなもん」
「良くないよっ、もらったんだから!
何がいい?何でも言ってっ!
できるだけ用意するからっ!!」
「…何でも?」
「何でもっ!」
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