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メリークリスマス!5
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「…本当に何でもいいの?」
「どんと来い!だよっ!!
男に二言は無いんだからっ!」
自分の胸を拳で強く叩くと、タイミングと打ちどころが悪くてむせた。
かっこわるい、恥ずかしい。
赤面していると、晴くんが立ち上がって僕の正面に立つ。
「…?」
「じゃあ、お前の温もりが欲しい」
「ぬっ、」
温もり!?
んんん、それってどうすればいいの!?
温もり?温もり温もり、温もり…
頭の中が温もりというワードで埋め尽くされてエラーを起こす。
「…寒いんだけど。
男に二言は無いんじゃないの?」
「ふぇっ、」
たぶんいまの僕は相当変な顔をしてると思う。
どうしていいかわからなくて、とりあえずブックマーカーを小包に戻してポケットに入れ、精一杯勇気を出して先ほどまで隠れていた晴くんの手を両手で握った。
「わ…晴くんの手、あったかい…」
「ポケットに入れてたからな。
…なぁ、これだけ?」
たしかに、これだと温もりをもらってるのは僕だ。
少しも温もりをあげられていない。
だからといって、これ以上どうすればいいのだろう。
精一杯頭を捻る。けど、思いつかない。
「ぜんぜん、たりねー…」
「あっ!」
そう言うと、晴くんは僕の手を引っ張って立たせた。
勢い余って前のめりになった僕の顔を、晴くんのたくましい胸板が受け止める。
僕の手から離れた晴くんの手は、僕の背中にまわされた。
抱きしめられている、と気付いたときには頭はパンク寸前で、何も考えられなくなる。
晴くんのコートの裾をぎゅっと掴んだのは、だから無意識。
どれだけの間そうしていただろうか。
お互いの身体がぽかぽかとあったまって、熱いくらいになって。
名残惜しさを感じつつようやく体を離した晴くんと目が合う。
2人して照れくさくなって、2人して顔を見合わせ声を出して笑い合った。
最高のクリスマス。
幸せな夜の締めくくりに、指を絡めながらどちらからともなく声を出す。
「メリークリスマス」
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