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意外2
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この間の喧嘩のこともあり、あんまりお互いの空気や気持ちを重たくさせたくなかったから、両親の話を明るく話した。
だけど、まあやっぱり、俺にとってこの話は地雷で、暗い部分の大半を占める出来事だ。
俺が明るく、軽く話したところで事件の重大さや俺の闇が軽くなるわけではない。
今まで関係者や親族以外に誰にも話さなかったこの話を高槻に話したのはなぜだろうか。
どうしても話さなくてはいけないような気がした。
俺のことを全部知ってもらいたかった。
別に俺の重たい部分をこいつと共有したいとか支えてほしいとかじゃなくて、本当にただ、俺の全部を話したくなったのだ。
高槻のリアクションから俺の心情を汲み取って、考えてくれていたのが分かった。
話して良かった、そう思えた。
「そういえば、おれも小学生くらいのとき事件に遭遇したよ」
尊くんほどじゃないけどね、と少し笑って高槻が言う。
「その日、学校の帰りにおばあちゃん家に寄ったんだ。そしたらね、通り掛かった家の玄関の方から人が暴れてるような大きな音がして、」
一度だけ、子供の声が聞こえたんだ。男の人が叫んでその子を怒鳴ってるみたいだった。
玄関の近くに窓があって、そこから男の人が包丁持ってるのが見えたわけ!で、やばい!って小学生ながら思ってさ、おばあちゃん家に戻って警察に電話してさあ…
犯人すぐ捕まったんだけど、怖いよね〜
「すげぇ、お前ヒーローじゃん」
「まぁね!」
「そういうのって、表彰とかされんじゃないの?」
「あーなんか、あんまり被害者家族が公にしたくないみたいで、お見舞いも行こうかなって思ったんだけど、面会拒否って言われちゃってさ」
「ふーん、じゃあ相手の顔知らないんだ」
「うん。名前も分からない。でも、子供が無事だったことと、俺と同い年らしいってことは知ってるよ。」
「へぇ」
へぇ……………?
どっっっかで聞き覚えのある事件。
あ、俺のと似てるのか。
いや、え、ちょ………っと、待って………
「……なあ、お前のばあちゃん家ってどこ」
「え?あー、△▲市の〇〇って団地に」
「……俺ん家もその団地だった」
「……え、と」
「…お前、それ、いくつの時だよ」
「確か………」
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