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照応2
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side高槻
待ちに待った昼休み!
……なんかじゃない。
朝、神田から『昼メシ一緒に食おうぜ』と誘い(ほとんど命令だったが)を受け、午前中の間俺は憂鬱だった。
憂鬱というか、どうして俺を昼に誘ったんだ、という疑問から始まり、なにかしでかしたのでは、と不安に駆られ、現在、俺の妄想は、不良グループの餌にされるところまで行き着いた。
姿の見えない恐怖が俺を襲う!(ポケ○ン風)
なんせ神田は『学校一の不良』なのだ。
………昨日の雰囲気からは全然そんな気配はしなかったんだけど。案外いい人かとか思った自分もいたし。でも、噂がな〜。
うーんと唸っていると、いつもの友人グループが声をかけてきた。
「高槻〜どしたん、飯行こーぜ」
「つーかさっきからどしたの。唸ってばっかり。」
「いやーそれがねー」
神田に飯誘われたんだわ、と言おうとした時、
「高槻ィ、迎えに来たぞ」
悪魔のお迎えかと思った。
さすがの友人たちも困惑しまくる。
「え、お、おい、高槻、お前、何したん」
「なんもしてねーよ!」
「は!?お前殴られる??殴られる??」
「なんもしてないんだって!」
「高槻ィ!早くしろ!」
「ウヒィッ!す、すいませんっ」
「「「た、高槻〜〜!!」」」
達者でな〜じゃねえから!!!
俺が一番不安だわ!!!
クラスメイトからも異様な注目を浴びながら、教室の入り口へ向かう。
女子達が神田を見ながらひそひそとなにか話しているが、当の本人は気にした様子はない。心臓に毛でも生えてんのかアイツ。すげえな。俺なら挙動不審になってr「おい!遅えよ!」
「ごごごめぬッ」
行くぞ、と言われたがどこに行くのか。ずんずん歩く神田の後ろをぴょこぴょこ歩く。
やはり廊下でも周りからの視線が痛い。
み、見られてる…………
やっぱりコイツ、心臓に毛生えてるわ…。
「か、神田くんっ!?ここ立入禁止って書いてあるよ!!!」
「あ゛?いーんだよ、鍵開いてんだから。」
訪れたのは屋上。
普段は(もちろん今日も)立入禁止という張り紙が貼ってあり、もちろん鍵がかかっていて開かない。はずなのだ。
しかし、神田はいとも簡単に屋上へつづく扉を開けてしまった。
「か、神田くん、だめだよ…!」
「いいっつってんだろーが」
「て、ていうか、なんで開けれるの」
「この扉な〜実はな〜開け方に工夫がいんだよ」
ニシシと俺に笑顔を向けながら神田は自慢気に言った。
ちょっと可愛いとか思ったのは秘密。
いつもは立ち入れないところに居る高揚感とイケないことをしてる背徳感と自由な神田に惹かれる鼓動とたぶん他にもいろいろ混ざり合って俺の心臓はひどく高鳴っていた。
「こっち来いよ、早く飯食おうぜ」
転落防止のフェンスの方から神田が俺に呼びかける。
「う、うん…!」
俺は自分の中に生まれ始めた気持ちに蓋をして、神田の元へ急いだ。
「いっただっきまー」
「(ええええ!?す、は!?あと一文字、ええ!?)……ます。」
がつがつとお昼を食べ始める神田。もそもそとお昼を食べる俺。無言。
ちらっと横に座る神田を見ると、ご飯を
口いっぱい頬張って、少しリスっぽい。顔は全然違うけど。
あ、口の横に米粒付いてる。あと、ソース、かな。
可愛い。
……………………ってちげえ!!!!!!ま、またじゃん!!俺はホモじゃないんだって!!と、ときめいてなんかないよ!?ギャップ萌とかしてないよ!!!?!?
思わず頬が緩みそうになって己に喝を入れる。
「(…落ち着け俺落ち着け俺…)…ふぅ。」
「なしたの」
「えっ、や、べ、別に?!」
ふーん、とまたがつがつ弁当を食べ始める神田。
…やっぱりリスみたいで、なんか、こう、構い倒したいというか、なんというか、米粒取ってあげたいっていうか、あの〜〜〜〜〜!!!!!
煩悩を振り払おうとぶんぶん頭を振ったら、また神田が聞いてきた。
「…なしたの」
今度は明らかに不審がってますね!
「あ〜〜いや、その、か、神田ってお弁当なんだねってお弁当!?毎朝作ってんの!?自分で!?!?」
ここでやっと神田がいかにも手作りなお弁当を食べていることに気づいた。
ちなみに俺は買い置きのパンである。寮の部屋にキッチンはあるが料理はほとんど作らない作れない。
「ん、俺、結構料理得意なんだ」
あと、裁縫とかも割とできる。と付け足して、また神田は弁当に視線を戻した。
な、なにそのギャップ。
か、可愛い。
可愛いっていうか、な、なにこれ、嫁さんにしたい子No.1みたいな、ギャルゲーで一番いい家庭築く子みたいな、え、え、恐ろしい子ッ!!!
さすがにこの発言には自分でも否定できないくらいきゅんときた。全身がうずうずしてしまう。な、なんだこれは。
そろそろやばいのかもしれない。なんか神田をすごく小動物みたいな愛らしい存在に思ってる自分がいる。
ど、どうしよう、料理とか裁縫する神田を想像したら心臓痛くなってきた。「おかえり」とか言われたい気もしなくもないし、「ボタン、付けといたから」とか照れながら言われたくなくもないけど!?!?
まさか!!こ、これが、俗に言う、『きゅん死』か?!
って!!頑張れ!!がんばれ俺、俺はほもじゃないからね!!!!
ちなみに後から聞いたのだが、屋上の扉はいつも鍵は閉まっておらず、ただほんっとうに錆びて開けにくいだけならしい。いつか使うかなこの知識…………。
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