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正体4
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片手にコンビニのポリ袋を下げ、息を切らしながら突然のセックス宣言。
セックスしよう!って言われてヤる!なんて俺が素直に言えるわけもなく。
「ばっばば馬鹿じゃんお前!」
「ばっ、ばか!?って!ももももしかして俺は今浮気現場に遭遇しているでありますか!!!!!!」
友に抱き締められる俺を見て高槻はまた叫ぶ。
その姿を見て友が俺に耳打ちしてきた。
「ねぇ、たぁってあんな子のどこがいいの?僕だいぶ引いちゃったんだけど、あの子って色々拗らせてるの?ヤバイ子なの?」
「…ぅ、ごめん」
友にそんなことを言われ、俺が恥ずかしくなった。でも好きなんだよ、しょうがない。あんな奴が俺には可愛く見えちゃうんだ。
「あのっ!」
なかなか返事をしない俺に高槻が問いかけてきた。
「か、神田くんは、俺より、会長さんが好き、なの…………?」
そんなわけねぇだろ!!俺ちゃんとお前の事好きって言っただろーが!!
確かに、昼休みだって友が途中参戦してきて、俺と友が知り合いだってことは分かっただろう。
でも、俺は、お前が好きって言ったのに。
「……そうだよ」
「へ…?」
「………って言ったら、どうすんだよ」
だから俺は試してしまった。
高槻が、俺をどれだけ信じてくれてるのか、俺をどれだけ必要としてくれるのか。
「えーっと、もし、ほんとに神田くんが会長さんのこと好きなら、俺は普通に諦めるよ、」
「……っ、」
「でもさ、」
高槻が俺の腕を取って、俺を友から引き剥がした。そのまま、俺は高槻の腕の中に収まる。
高槻は俺を優しく抱きしめた。
「神田くん、そんな辛そうな顔してんだもん。ごめんね、聞くまでも無かったかもしれない、神田くんは俺のこと大好きって顔してるし、」
「〜〜っ!うるせぇっ!好きじゃねぇよ!」
「え〜っ、ひ、ひどいな、さっきは言ってくれたじゃん〜!!」
「気の迷いだった!!」
「うーん、そうだなぁ、じゃあ、俺は今から神田くんが迷わないくらい、神田くんを『俺』大好き星人にするよ」
「ほ、ほんとばかお前っ!!」
そう言って俺はばたばた暴れたが、高槻にがっつりホールドされて動けない。
なんでこういう時だけ強引なんだ、
なんで俺が言ってほしいことがわかるの?
なんでそんなに俺のこと好きなんだよ
「うへへ、神田くん、可愛い」
ぎゅうっと高槻に抱き締められて、苦しいはずなのに、もっとしてほしくて、気持ちがふわふわして。
やっぱり好きだなぁ、
俺、高槻じゃないと、だめだなぁ
俺の方なのかもしれない、高槻を必要としているのは。
「………で、でさ、ほ、ほんとに俺のこと好き、だよね…っ!?」
「…まじでかっこつかねーよな、お前。………そんなとこも好き、だけど………」
「え?ごめん、聴こえなかった」
「あーもう!!好き!!好きだよお前の事!!!お前がいなかったらダメになりそうなくらいに!!!」
「フォオオオオオ!!!!きゃ、きゃんだきゅんっ!!」
ちゅぅぅうううう
「ッ!?ンーー!!!ん゛ーー!!!」
突然でしかも長くて、さらには友の前でキスをされ、息苦しさと恥ずかしさで止めろと高槻の肩をバンバン叩いた。
「…は、ぁ、へへへ、好き♡」
唇が離れると、俺と高槻の間に唾液の糸が光る。高槻はそれを舌で舐めてから、にへらと笑顔を浮かべた。
俺はというと、高槻のこのエロさと無邪気さとキモさのギャップに悶え苦しんでいる。
ぱんっと音がして、何かと振り返れば、笑顔の裏に怒りを含んだ友が手を叩いた音だった。
「ぁ、友…………」
ごめん、ちょっと存在忘れてた。
「ははははは、なにかな、僕に見せつけたかったのかな?僕はバカップルの茶番に付き合わされたのかな?」
「い、いや、ほんと、ごめん」
「はぁ、まぁ僕はさ、たぁが幸せならそれでいいんだよ」
「ふぉお!友さん…めっちゃええ人やがな…っ!!」
「あ?お前何勝手に人の名前呼んでんだよ、僕は君を許してないぞ!僕のたぁを取りやがってこの野郎、あぁん?」
小姑と父親が入り混じったような風貌で、友は高槻を睨む。
「ヒェッ!!す、すびばぜん!!」
「あ〜あ、なんでこんな奴〜〜!!」
「それは俺も同意です」
「じゃかぁしいわあほんだら!!」
「ヒィィッ」
怖いなら話しかけなきゃいいのに。と思ったが、なんだかんだ友も高槻を気に入ったらしい。
なんせ友が優等生面せずに話してる。
「…ま、一見落着かな?邪魔者はこれで退散するよ」
「ぁ、ありがとな、ほんとに、」
「いいよ、たぁの為だもん♡」
ハートを飛ばしながら友は自分の部屋へ戻っていった。
なんか、たった数時間のことなのに、すっげー長く感じた。
「か、神田くん、」
「俺さ、友とはちっせぇ頃からずっと一緒で、こんな俺に優しくしてくれて、遊んでくれて、気にかけてくれて…俺にとったら家族みたいなもんでさ、」
「…うん」
「だから友のことはほんとに大好きだけど、それはお前への気持ちとはちがくて。何が言いたいのかって言うと、俺が、恋愛として好きっていうか好きになるのは、好きになったのは高槻が初めてで高槻しか考えられない、です…。」
だいぶクサイこと言ったな、と自分でも思う。多分高槻はいつもみたいに『ふぉおおお!!神田くんからそ、そんな言葉を貰えるとは!幸せにござるぅあ!!』とか言うんだろうけど。
「…嬉しい」
「え?」
予想外の台詞に驚いてしまった。(失礼)
「俺、神田くんと出会えて嬉しい。神田くんに好きになってもらえて、神田くんを好きになって嬉しい。神田くんが俺を必要としてくれるのがすごく嬉しい。
俺、絶対神田くんのこともう泣かせないよ、ごめんね。」
泣いていたのがバレていたのか、目元を指で擦られた。いつになく真面目な顔で思わずきゅんときた。
俺だって高槻に好きになってもらえて嬉しい。
「神田くん、好きだよ。……困った、もう手放したくないなぁ。」
「ばぁか、そんなん、俺だって離したくねぇよ」
目が合って笑い合う。
そんなことが出来る、幸せ。
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