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勝負2
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side高槻
教室のドアを1センチほど開き、その隙間から中を覗く。さながら変態のようだ。
神田に女友達がいるなんて予想外だった。そもそも友達すらいるのか不明なんだけど。
それにしても、さっきから神田の笑顔が耐えない。
なんの話をしているのか、話の内容は細切れにしか聴こえないので、はっきりとは分からない。
なに話してんだ〜!?!うう浮気現場ぁぁあ!!!
「………でよ………きが…」
「…よ……しい…」
俺の話、してる?もしかして。
神田の口から『高槻』という単語が聞こえた気がしたのだが、勘違いだろうか。
俺は声がよく聴こえるように耳を隙間に当てる。もう少しで内容が分かりそうなんだ。
この時、俺は背後から佐藤が近づいてきていることに全く気づいていなかった。
悲劇まで、あと10秒。
「あっれー高槻じゃあん!なにしてんの?」
「びぃやぁぁああああああ!!!」
「なになに?覗き???wwwwww」
あ。オレ氏死亡。
「えっ!?高槻!?」
ガタンっと教室の中で2人が立ち上がる音が聞こえた。
教室のドアが開いて神田が顔を出す。
「ど、どうも、はは!」
「もしかして、話、ずっと聞いてた…?」
は、はは、ははは………と俺はわらうことしか出来ず、いつの間にか、佐藤は姿を消していた。なんだったんだ。
「どーしたの?」
可愛らしい声がして、中から神田と話していた女生徒が出てきた。
……………!?!?!!
ファッ!?!?!?!?
う、美しい!!
いや、違う!!
あなたは…!!!!!!!!
「フォオオオオオ!!西園寺様ぁぁああ!!!」
「キャァア!!なんなのアンタ!気持ち悪いわね!それ以上近づかないでちょうだい!!」
「ファーーーー!!!言動までそっくりとは!!感激にござるぁあ!!」
「なに!?誰なの!?ちょ、助けて、たっちゃん!!」
説明しよう。
西園寺様とは数あるギャルゲーのなかでも、レジェンド作品と呼ばれる『天空の学び舎〜君と過ごした時を忘れない〜』通称『空君』に登場する、西園寺財閥跡取り娘『西園寺夏海』である。日本人離れしたブロンドの美しい髪、大きな瞳、大胆な制服の着こなし、そう、彼女は典型的な女王様キャラであり、あらゆるギャルゲーマー達を唸らせてきたのである。
そんな彼女が、今、目の前に……
「高槻、こいつ友の妹の『鈴子(すずこ)』」
「西園寺様っ!!!」
「いや、だから鈴子だって、」
「?西園寺夏海?」
「咲田鈴子」
「さ、西園寺様は……?」
「咲田鈴子」
ガッテム!!!!
どこからどう見ても西園寺様なのに、鈴子だなんてそんな…………………
「『ださい名前』とか思ったでしょ、あんた。」
エスパーかって違う違う!
「ファ!?ひ、え、や、あの、」
「なに?聞こえないわ」
性格までそっくりなのに……!!
「お、おみょってませ…!」
「あなた、気持ち悪いから喋らないでくれる?」
ご馳走様ですっ!!!!
西園寺様hshs
とか思っていたら、神田がジト目で俺を見ていた。頭にハテナを浮かべると、神田はため息を吐いて、ぷいっと顔を背けてしまった。
もしかしてヤキモチ…………?
「か、神田く「ちょっと!たっちゃんの名前気安く呼ばないで!汚れる!!」…はっはいぃ!!」
あのぅ、ボクぅ、一応、神田くんと、お付き合いさせて頂いてるんですが。
ちらりと神田を見るが、一向に目を合わせようとしてくれない。
「たっちゃん、なんなの?このキモイの。」
「……知らねぇ」
神田くんに見捨てられました。
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