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正真4
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「じゃあ6時にうちね!」
「わかった」
「「ばいばいたぁ(たっちゃん)!」」
「ん」
ひらひらと手を振って、ご近所の俺達はそれぞれの家に帰った。
ランドセルから鍵を取り出して、鍵穴に差し込む。
「………あれ?」
おかしい。
おかしい。
鍵が、開いてる。
「…………………お、かあさん……?」
そんなはずない。
だって、お母さんは、今、出張中で、
お父さんは、まだまだ仕事の時間のはずで、
鍵は、3人と大家さんしか持ってないはずで、
朝は、俺が鍵を掛けて出て行ったはずで、
じゃあ、
じゃあ、
どうして 鍵が 開いてるの ?
チリーン…
ランドセルからお守りで貰った鈴が床に落ちる。
その音に反応して、リビングで黒い影が動いた。
誰………?
暗くてよく見えない、分からない、知らない人。
目が合った。
反射的に危険を感じてすぐに外に出ようとした。
だけど、無理だった。
俺は怖くて、恐くて、足が動かなくなっていた。
影か俺にゆっくりと近づいてきていた。
「ぁ………ぅ、あ………っ!」
声にならない声で俺は助けを呼んでいた。
「ゃ、やだ………っ、たすけ、ゃ…っ!」
窓から夕日が射し込んで、男の顔が見えた。
知っている、俺は、そいつを知っていた。
「……ぉ、じさ…ん………?」
顔も名前も知っている。優しかった叔父さん。よく遊んでくれた叔父さん。最近は会ってなかったけど思い出せる。
でも、こいつは誰だ。俺はこんな、ギラギラとした目で、殺気に塗れた奴は知らない。
手に持った刃物がキラキラと輝いて、俺はもう何もかも分からなくなった。
「ごめんな、尊。こうするしか、無かったんだよ。」
叔父さんのもう一方の手には、人の腕が握られていて、俺はすぐに、それが自分の父のものだと気がついた。
「ゃだっ、来るな…!こっちに来んな!!!!」
「見られちゃったんだ。仕様がないだろう。」
「や、めろ!!!誰か、誰か!!!誰か!!!!!」
「ははは、無理だよ。誰も来ないよ。」
「ぅるさいっ、死ね!!死ねよ!!!」
膝が笑って、うまく歩けなかったが、俺は必死で逃げようと足を動かした。
叫んで叫んで、誰かに聞こえないかと願いながら、声を出し続けた。
「ごめんなぁ…叔父さん、お金に困ってるんだよ…。」
「…っ、は、なせ……!!!」
捕まった。
もう、だめだ。
短い人生、楽しかったかな。
友の誕生日会、行きたかったな、ケーキ、食べたかったな、もっとゲームやりたかったな、もっと、生きたかったな…
死にたく、ない。
俺は、まだ、生きたいんだ。
「……助けて!!!!助けてよ、友!!!!!」
「さぁ、そろそろ、黙ってくれよ!」
ぼろぼろ涙をこぼして、後悔を嘆きながら、俺は叫び続けて、気がついた。
あぁ、誰も、俺なんかを助けてくれるやつなんかいない。
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