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憤慨2
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俺は口下手でなかなか自分の思いを声に出して相手に伝えることは出来ないけど、それでもやっぱり自然と出てしまう言葉もあるわけで。
「…好き」
ゲームに夢中になっていた高槻に後ろから抱きつきながらそう呟いた。
寂しいから、構ってよ
そういう意味も含めて、絶対俺に振り向いてくれる、そう思って放った言葉だったのだが、この日はいつもとは違っていた。
「僕も」
高槻の返事に嬉しくなって顔を上げたけれど、高槻の視線はテレビへ向かったまま。
俺には背中が向けられている。
『アンナ嬉しい!あたしたち両思いだね♡』
テレビから聞こえた聞き覚えのない声に俺の思考は停止。
「両思いだ〜!長い道のりだったひょ〜!!ア〜ンナちゃあん♡」
ふざけんじゃねーぞ
俺のさっきのときめき返せよ
知らない(画面の中の)女に嫉妬しまくって、高槻の肩をがぶりと噛む。
「いっ!!!!!ちょ、やめてよ!!痛いよ!!!!」
「グルルル…」
「え!?なに!?!威嚇!?!?もー今新作やってるんだからやめて〜!!」
『新作やってるんだからやめて』?
『やめて』?
俺よりゲームかよ!!
くそ死ねデブ!!!!!ばーかばーか!!!!!
てめーなんか孤独死しろ!!!!!
高槻の一言に怒りボルテージMAXになった俺は、怒りに任せて高槻を一撃し、部屋を去った。
むかつく、まじでむかつく!
俺と付き合ってんだろ!!
もっと俺にかまえよ!!!
ふと、そこで我に返る。
あれ?でも、これって、俺の我儘かな…?
もともとあいつオタクだし、俺だって一緒にゲームするときあるし、
ギャルゲーにハマる気持ちも分かる。
そもそものあいつの優先順位が ゲーム>俺 なんじゃないのか。
そこまで考えて、結構悲しくなって考えるのを止めた。
早く構ってよ、俺、すげえ寂しいよ
『好き』『愛してる』
いつも当たり前にあって、自分に向けられていた言葉が、少し途切れてなくなるだけで、こんなに切なくなるなんて知らなかった。
高槻はいつもどんな気持ちで、100回に1回の俺の返事を待ってるんだろう。
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