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憤慨4
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いつもより少し早めに部屋を出る。
もちろん、高槻に会わないようにするためである。
俺にしては優等生すぎる時間に教室についた。
早くから登校して、教室で勉強しているやつらは普段この時間に見ない俺の姿に目を丸くしていた。
ふん、もう戦いは始まってんだよ、高槻。
べー、だ。
1限後、高槻が俺の教室へやってきた。
いつもなら、「高槻!」と飛びついて喜ぶところであるが、今日はそんなことはしない。
気づかないふりをして漫画を読む。
隣まで高槻がやってきた。
「か、神田くん……あの、今日、どうしたの…?朝、いなくて俺心配したんだけど」
「別に。」
余計なことは言わない。
軽くあしらって返事をした。
見なくても分かる。高槻がしゅんとしている。
俺の突然の冷たい態度に困惑しているようでもある。
「そ、そっか…なんか、ごめん」
「なにが?あと、今日から俺1人で昼食うから。」
「えっ?な、なん、なんでっ!?」
「1人で食いたいから。」
高槻が何かを言おうとして、口を開いた時、丁度予鈴のチャイムがなった。
ぐ、と言葉を飲み込んで、高槻は自分の教室へ帰っていった。
おし、いい感じだ俺。
少々高槻には申し訳なく感じているが、俺は昨日決めたんだ。絶対俺からは折れない。
昼休み。
俺は自らの手作り弁当を片手に学食へ向かった。
普段なら購買以外は絶対に近づかない場所だが、今回は仕方ない。
多くの生徒に紛れて、高槻から隠れようという作戦である。
が、なんとまあ、久しぶりにこの感じ。
全然隠れられてないわ。
いつも高槻といたから忘れかけていた。
「………ちっ」
ざわっ………
俺の舌打ちに周りの生徒がざわめく。
そしてだんだんおれから距離をとり始める。
「…なにもしねぇっつーの」
そう小声で呟いて、半径約2m以内に人がいなくなった空間で昼ごはんを開始する。
うん、今日の卵焼きも完璧。
うまい、手作り弁当うまい。
美味しいのに、おいしくない。
いつもと味付けは同じはずなのに、どうしてこんなに、おいしくないんだろう。
「あ、いた。」
ガタガタと椅子を動かして、俺の前に誰かがやってきた。
「なんだよ、昇平かよ」
「なんだよってなんだよ。高槻かと思った?」
「思ってねー。つか、何勝手に人のテーブルでめし食ってんだよ!」
「はぁ〜〜〜?空いてるしいいだろ、俺がどこで食べようが!お前のテーブルじゃねえし。」
本日二度目の舌打ちをして、昇平と共に昼食を再開する。
無言で食べ進めていたが、さすがに気まずいというか、昇平がさっきからちらちらとこっちを見てくるのかうざい。
「…言いたいことあんならはっきり言えよ」
「高槻と別れたの?」
「ぶっ……ごほ、っ、はあ?」
あまりの唐突な質問に思わす呑んでいた水を吹き出した。
いや、確かに、少し距離を取ってるけど、
「わ、かれてねぇよ」
「ふーーーーーん。あっそ。」
「あ?お前が聞いたくせにそれかよ」
「高槻が朝から元気ない。お前のところに行かないし、お前も来ない。飯も一緒に食ってない。だから、とうとう別れたのかと思った。」
『ま、俺は最初っから続くとは思ってなかったけどね~』
そう言い残して、早食いの昇平は席を立った。
「だから別れてねぇっつの!!!」
後ろ姿の昇平に叫んだけれど、手をひらひら振って返された。
そんなしょげてんなら早く俺んとこ来てさっさと昨日のこと謝れ馬鹿。
そして、結局その日は朝以降一度も顔を合わさなかった。
風呂から上がると、高槻からメールが1件入っていた。
『俺、なんかしたかな?気に触ることしたんなら謝る。ごめんね。今時間ありますか?会いたいです。』
こいつ、自分がしたこと分かってねーのかよ!
いや、俺が気にし過ぎなのか?
高槻も謝ってくれてるし、もう許してやっても…
いーや、やっぱやめた。
分かってねーのに謝るってなんだ?何に対して謝ってんだ?
なんか腹立ってきた。
そんなこんなで、自分の立てたルールにのっとり、メールの返信もせずに、ベッドに横になった。
俺からは絶っっっ対折れない。
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