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憤慨9
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今日1日、地に足がつかないような、そわそわして、ろくに授業なんかも聞いてなくて、飯も上の空だった。
なんでこんな緊張してんだよ。
自分から始めたことなのに、いや、あいつが元凶なんだけどさ。
刻一刻と時間は迫っている。
会いたい気持ちと会いたくない気持ちがせめぎあって、なんかもう訳わからん。
放課後になった。
待つのがいやで、トイレに篭もる。
心臓がやけに早い。
別に、そんな気負うことじゃない。あいつが悪いんだし。
携帯が鳴った。
ビクッとして、見ると高槻からだった。
動けなくて、ただ見つめていたら電話は切れた。
同時に、メールが送られてきた。
『ずっと、待ってます』
1文だけ、そう書かれていた。
ぐ、と足に力を入れて立ち上がる。
俺は教室へ向かった。
ガラ
扉を開けたら、高槻が窓際に立っていた。
他には誰もいない。
「あ、」
俺が口を開いたと同時に高槻が開けていた窓からぶわあっと風が入ってきて、夕焼けと風になびくカーテンと邪魔くさそうに前髪を抑える高槻。
高槻の髪の毛が夕焼け色に染まって、眼鏡のレンズ越しに綺麗な黒い瞳が見える。
綺麗、好きだ、大好き
やっぱり、会っちゃうとダメだ。
押し込めていた感情が一気に溢れだすみたいに、体中を駆け巡る。
「尊くん、」
高槻が一歩ずつ俺の方へ近づく。
俺はどうすることも出来なくて、ただ高槻が来るのを待っている。
「俺、ほんとに無神経かもしれないけど、ゲームも美少女も大好きでたぶんこれがないと生きていけない。そんで、今は、尊くんがいないと、俺は何も楽しくない。だから、その…」
高槻は真剣な顔で言葉を紡ぐ。俺に思いが伝わるように。
分かるよ、お前の言いたいこと。
やっぱり俺には高槻が必要なんだと思う。
それは多分、高槻も同じ。
「…俺も、お前がいないと楽しくない…って分かった」
少し会わないだけで、こんなにも悲しくなるなんて思わなかった。
やっぱり気持ちは口にしないと伝わらない
真っ直ぐ高槻を見つめて言う。
「勝手にいじけててごめん、こんな俺でも、まだ好きでいてくれる?」
好きだ、好き、大好き
また強い風が吹き込んで教室のカーテンを揺らす。
丁度夕日が高槻に当たって綺麗だ。
「何いってんの、そんなの1番大好きに決まってるじゃんか」
少し、震えた声で高槻が言って、俺を抱き寄せた。
「俺も、大好き…寂しかった」
久しぶりに高槻の大きな背中に腕を回した気がする。
ぎゅうっと苦しいくらい抱きしめあって、目があってふっと緊張が溶けたみたいに笑った。
「あ、のさ………よかったら、手繋いで帰らない?」
「…………ん、」
「えっ、いいの!?」
「ばーーーか」
「ぅわっ!?!?」
自分から高槻の手を取って、全力ダッシュ。
なんだこれ、青春かよ。うん、青春。
そのまま放課後デートとやらに出かけて、なんかいい感じのカフェでまったり中。
「俺がゲームやってる間って尊くん寂しい?つまんない?」
「うん」
「…今日素直すぎて逆に怖い」
「ほんとはずっとくっついてたいし話したいし触りたいしキスしたいし、」
「ん!?え、ちょ、ストップ!?」
「お前が俺しか見えなくなればいいのにって、思ってる。」
目を見て言うはずがやっぱ恥ずかしくなって、途中で逸したら逆にそれが良かったのか、珍しく高槻が顔面まっかっかにして逆上せてた。
そっとテーブルの下で足を絡ませてやったら、『こ、小悪魔!!!!!』って叫ばれた。
そんなこと言いつつ、帰り道人通りが少なくなった瞬間に、超自然に手をつないで微笑んでくるお前の方が俺には悪魔に見えるけど。
~作者~
こいつら2日間くらいしか喧嘩してないんですよ。なのに抱きしめて久しぶりとかいみわかんねぇよ。らぶらぶかよ、羨ましいな。ただのバカっプルのケンカに巻き込まれましたね。
きっと彼らの体感時間は1ヶ月くらいなんですかね、らぶらぶかよ。
終われ。
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