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意外
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side 高槻
「俺ってさぁ両親いねぇだろ?」
「………え?ん?うん?」
「正直、あの日の記憶ってあんま無くてさ」
「…あの…?ん?」
「だから親が殺され…」
「…!?!?ころ、ん?!こ、え!??!?えぇ!?!?」
「は?なに初耳みたいなリアクションしてんだよお前」
「リアクションって言うか初耳だから!?っていうかそんなハードな話こんなぽかぽか陽気の日光浴してる時で大丈夫!?!?俺ちゃんと聞くけど!?!?!」
「え?言ってない?」
キョトンとした顔で小首かしげてお目目パチパチさせて聞いてくる神田尊さん。
うっかわいい!!!!!!
じゃなくて、俺の記憶が悪いわけではなく本当に初耳であるが、なんだって?
尊くんご両親殺さ…亡くなってるの…?
過去ハードモードすぎじゃない彼?
こんな軽く聞くような話じゃなくない!?
「えぇ〜〜〜〜〜!?全然、全然初耳だよ、つか俺驚きすぎてこんな浅いリアクションしかできないんだけど、えぇ〜〜〜〜〜?!なに、え?急に?殺されってえ?なん、あ、聞いていいのか分かんないけど、な、なんで…?てかいつ…………?」
「俺が小学生の時にさ、親戚と金銭関係で揉めて、俺が学校から帰ってきた時にちょうどそこに鉢合わせしちゃってさ、」
「はい?ちょ、ま、待って待って。一旦落ち着こう?鉢合わせって、揉めてる場面に???」
「揉めてるってかそん時はもうどっちも死んでて、おじさんがぼーっと立ってて、俺足動かなくなって、俺も殺されそうになったんだけど、目ぇ覚めたら病院でさ」
「ンえ!?!?!?殺害現場に鉢合わせ!?!?!?!?おれもころされ!?!?!?!?」
「だからそう言ってんだろうが!んで、友が言うには誰かが通報して俺が助かったらしいんだけど、」
え〜〜〜〜〜その通報したやつほんといい仕事したやん………
いやこんな言い方しちゃだめだろ
もっと重い話だろこれ
「その通報したやつが誰か未だに分からなくてさ〜、誰だったんだろうって」
「俺もその人に会いたい…その方のおかげで俺は今こうやって幸せな時間を尊さんと過ごせるわけでありますね………」
「そうそう、そういうこと。警察が言うにはそいつも子供で小学生くらいの声らしいんだよ。ってことはもしかしたら俺と同じくらいの年なのかなとか。」
神田がう〜んと悩むような表情で空を睨んでいる。
俺は神田の悲しい過去を噛み締めながらも、この話をしてくれたことに喜びを感じていた。
なぜなら、神田が過去の話をすることは珍しい。
普段から昔話をしないなとは思っていたけど、もしかしたら思い出したくなかったからなのかもしれない。
そんな過去をわざわざ俺に打ち明けて、しかも一番暗そうな部分を共有しようとしてくれたことが嬉しかった。
「話変わるけど、こうやって昔思い出して話せる奴ができてよかった。俺、ちょっと前までは絶対に自分の殻から抜け出せないって思ってたから。この話、咲田家しか知らないんだよ」
そう言って、神田はニッと眩しい笑顔を俺に向けた。
俺は心臓がキュッと二重に締め付けられるような気分になった。
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