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ツイテルンデス4
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えっ?田代?
サッカーボール………
校庭には田代がいて、サッカー部のキャプテンで。
「サッカーボール?これが飛んで来たのか?」
鈴木先生は転がるサッカーボールを拾い上げる。
鈴木先生と一緒に校庭を見るけど、誰もいない。
「誰か校庭に居たのを見たか?」
鈴木先生が徳川に聞いている。
田代がいたのを見たのは俺だけ。
「見てません。林田先生もきっと見てません。俺と話してたから」
キッパリと答える徳川。
田代に手を振っているのを見ていたのに?
「そうか………サッカー部は全員休んでるからなあ。誰かボールを持ち出したのかな?」
鈴木先生は首を傾げている。
「とりあえず掃除しましょ?」
徳川がそう言ったので鈴木先生もそうだな。と掃除道具を取りに行った。
「琳、大丈夫?」
鈴木先生が教室を出ると直ぐに徳川は俺の側に来て心配をする。
「う、うん、ありがとう」
なんだかんだで、徳川には助けて貰ってばかりだ。
「ほんと、琳は危なっかしいね。」
ニコッと微笑み俺の髪を撫でる。
「ごめん」
ちょっと反省。なんか、助けて貰ってばかりだ。
「どうしたの?素直じゃん?いつもなら頭撫でるなとか琳とか言うなって言うクセに」
確かに………
そうだ、呼び捨てされたんだった。
頭も撫でられて…………いや、ちょっと安心したんだ。
徳川に頭撫でられて、大丈夫?って聞かれるの嫌じゃなくなってる。
ホッとしてる。徳川がいま、ここにいて、凄く安心してる。
でも、絶対言葉にはしない!
ぜってえ、徳川が調子に乗るから!
「センセ、今日も一緒に帰ろうね。荷物取りにいかなきゃならないし」
俺の頭に乗せられた手のひらは優しく髪を撫でてくれる。
だから、「うん」なんて頷いてしまった。
◆◆◆◆◆
「荷物これで最後?」
管理人さんと徳川がどこからか段ボール箱を貰って来てくれて、それに服やら私物を詰め込んだ。
しかもトラックまで手配してくれて、ありがたい。
「うん」
「じゃあ、持っていくね」
徳川は俺より力持ちで助かった。
管理人さんも手際いいし、………くそっ、トロイのは俺だけか?
「琳、いくよ!」
段ボール箱を抱えた徳川に呼ばれて慌てて後を追う。
トラックに乗り込み、管理人さんにお礼を言った。
走りだして直ぐにサイドミラーに誰か映り込んで、後ろを見た。
小さくなっていく人影。
管理人さんと…………あと1人。
背格好が田代に似ている。
田代なわけがない。
彼の家は確か隣の市で電車の特急に乗って通ってるって聞いた。
俺が乗る電車の路線は同じで、朝、たまに会っていた。
朝、…………あれ?
何か引っかかるんだけど?何だろう?
「琳、もう直ぐ着くぞ」
徳川に頭をガシッと掴まれ我にかえる。
荷物は業者さんと一緒に降ろしたから直ぐに終わった。
徳川の部屋は積まれた段ボール箱でいっぱいだ。
「荷解きは後にして、夕飯作ろう」
徳川は一緒にスーパーに行こうと誘ってくる。
荷物持ちに行ってやろう。作って貰うんだから。
彼のアパートの近くには大きなスーパーがあって、便利そうだった。
しかも、安いし。
「あのさ、徳川、家賃とか光熱費とか食費ちゃんと払うから」
俺はカートを手に徳川の後をついていく。
「家賃はいいよ。食費を半分くれれば」
「だ、だめ!それはだめ!ちゃんと払う」
「じゃあ、半分づつな?」
「えっ?俺が多く出すよ!大人だし」
「琳はそんなに食えないだろ?それに……小麦。2人の時は小麦って呼んでよ」
「えっ?なんで?」
「イイから小麦。呼ばないと琳が嫌いなピーマンをクリームシチューに入れる」
通りかかった野菜コーナーでピーマンの袋を手にする徳川。
ひいいいい!ピーマン、だめ!絶対!
俺は首を振って、
「小麦って呼ぶからやめろ!」
と言う事をきくはめになる。
くそ、俺のばかばかばか!
徳川はニヤリッと勝誇った顔をしていて悔しい。
置いて貰うしな。ご飯もさ………
名前を呼ぶくらいでイイならいくらでもいいさ。
「琳、向こうみて来るからデザート選んでなよ」
徳川はそう言って鮮魚コーナーへ。
海老とか入れてくれるのかな?なんて密かな願い。
俺はスイーツコーナーへとカートを押していく。
「りーんちゃん」
名前を呼ばれ、思わず「はい。」と返事して振り返った。
でも、そこには誰もいない。
あれ?
確かに今?
りーんちゃんって…………
田代の呼び方。………いや、声も田代の声だったような?
空耳かなあ?
俺は周りをキョロキョロと見回し、田代の姿をさがす。
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