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ツイテルンデス
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窓ガラスが何かに共鳴するように震え、音が出る。
なに?
台風の時に窓ガラスが震えるとは全く違う。
初めて見る光景だった。
『ハナレロ、センセイカラハナレロ』
声が部屋中に響く。
昨日の声だ。
俺はとっさに徳川にしがみつく。
べ、別に怖いわけじゃないからな!!
徳川も怖いかな?って思ってさ。
徳川は俺をギュッと力込めて抱きしめてきた。
「琳、大丈夫だから」
徳川の声と言葉に凄く安心する。
「何、アレ?アレが俺に?」
窓の向こうに居ると思われる何かをチラリと見る。
「そう………昨日は逃がしたけど、今日は逃さない」
徳川は俺を離すとベッドから降りた。
「こ、小麦」
「大丈夫、直ぐに戻るから。ベッドの上に居れば大丈夫だよ」
徳川はそう言うと玄関へダッシュ。
えっ?外行くのか?危ないんじゃ?
「小麦!」
名前を呼んだ時にはもう、外へ飛び出していった。
ううっ、大丈夫かなあ?
俺はベッドの上で膝を抱える。
徳川…………っ。ううん、小麦。
小麦には何が見えているのかな?
俺にはサッパリで。
もし、見えてたら今頃正気じゃないよね?
そう考えると小麦ってすげえ。
強い。
大人の俺よりも、遥かに強い。
まだ、子供のくせに。
子供のくせに………小麦はすげえ。
うん、ほんと、すげえ。
キスも上手いし………
キスかあ。………俺は自分の唇をそっと指で撫でる。
小麦とのキスが初めてなんだよなあ。
ファーストキスかあ。中学生の頃、クラスの男子とキスするならアイドルみたいな可愛い娘がいいとか騒いでた。
小麦は確かにアイドルみたいだ。
うん、可愛いし、いや、綺麗だ。
小麦が女の子だったらなあ。
女の子……………、小麦は俺が男でもイヤらしい事したいとか言ってたもんな。
それって、なに?俺を好きって事?
好き?
えっ?えっ?好きなのか?俺を?
そう考えると顔が熱くなってきた。
ひえええ、もう、ダメだ。思考回路ショートしそうだ。
ブブブブブ、ブブブブブ、
バイブの音が鳴り響き、ちょっとビックリした。
まあ、おかげでショート寸前で正常に戻ったけども。
携帯を取りにベッドから降りた。
携帯を取ると、鈴木先生から。
なんかあったのかな?
「もしもし、お疲れ様です」
「あ、林田先生?お休み中にすみません。あの、実はお願いがありまして。俺の代わりに学校に行って貰えてませんか?子供が熱を出して今から病院へ」
なに!!まじすか!
「えっ?大丈夫なんですか?お子さん?分かりました。先生の代わりに学校行きますよ」
「すみません。助かります」
安心したような鈴木先生の声。
よし、学校行くか!
俺はちゃちゃっと着替えて、仕事に行く準備をした。
うん?でも、何か、俺忘れてないか?
まあ、いいか。
俺は深く考えもせずに学校へと向かった。
◆◆◆◆◆
「あれ?林田先生、今日はお休みでしょ?」
学校に着くと他の先生に声をかけられた。
サッカー部の顧問の先生だ。
「いえ、鈴木先生に代わってくれって頼まれまして」
「えっ?変ですね。鈴木先生は今日元々休みですよ?」
「へ?」
俺はキョトンとなる。
あれ?変だな。確かに電話あったのに。
「鈴木先生にからかわれたんじゃないですか?」
そう言われ、そうかも!なんて納得してしまった。
たまに鈴木先生は俺をからかってくるから。
「………じゃあ、俺帰ります」
部屋に戻らないとさ小麦心配するよな?
ベッドから降りなければ大丈夫とか……………………………あ、あれ?
携帯………携帯って電池パック抜いたままだ!!
俺は恐ろしい事を思い出した。
あの時は何も不思議に思わなかったんだよ。
なんでだろ?
あんなに怖い思いしたのに。
と、とにかく、戻ろう!!
帰る為に方向を変えると目の前が真っ暗になり…………
俺は気を失ったみたいになった。
「先生?林田先生?」
名前を呼ばれて目を開けた。
目にすぐ飛び込んできたのはどこかの部室の天井。
どこの部室だっけ?
周りを探るようにキョロキョロする。
「どうしたのリンちゃん大丈夫?」
キョロキョロする俺の視界に入ってきたのは田代。
あっ、サッカー部だ。
俺は長椅子みたいのに寝かされていて、身体を少し起こした。
「田代?俺………どうしたの?」
身体を起こして田代をみる。
田代はニッコリと笑って、
「俺が連れてきたんだ」
と言った。
「えっ?田代が?なんで?俺……もしかして、また、倒れた?」
貧血で倒れたんじゃないかって思った。でも、
「ううん、俺がリンちゃんが欲しくて、さらってきたんだ」
ニヤリッと田代が笑う。
なんの冗談?
「さらう?」
「うん、ここでリンちゃんを犯そうって思ってさ」
田代はそう言って俺の頬に手でふれる。
すごく、冷たい手だった。
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