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じゅうよん。
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頭をくしゃくしゃと撫でて、小麦はベッドを離れた。
小麦が居なくなった瞬間、心がしゅんとなる。
物足りない……さみしい?
どの言葉が合うか分からないけど、小麦が居ないってだけで、俺は落ち着かなくなるんだ。
変だよね。なんでだろ?
エロガキで生意気で、
でも、嫌じゃないんだ。嫌いじゃない。
小麦に触られたいって思ってしまう自分がいるんだ。
小麦は男で俺も男なのに。触られたいって変だよね?
俺は同性愛者でもない。
恋愛対象は女の子だったのに。
なんで………小麦が気になるのかなあ?
そして、なんで、こんな事を考えてるのかなあ?
熱があるからかな?
それとも、小麦のあんな顔見たから。
寂しそうな、悲しそうな……そして、泣きそうな。
「こむぎ……」
名前を小さい声で呼んでみる。
「あ~、ごめん、小麦じゃないんだよ」
ふいに聞こえた声に驚き、声がした方をみる。
そこには白衣きたさっきの男性。
お医者さんなんだけどね。
名前……えっと、診察される時に聞いたような?
白衣の胸元にかかっている、IDを見る。
「あれ?リン先生、俺の名前覚えてくれてなかった?」
俺の視線がどこを見ているか気付き笑う。
しまった………恥ずかしい。
「マサハルでいいよ。」
ニコッと笑う顔が少し小麦に似てる。
「小麦、どこいった?」
「のど、渇いたって言ったから」
「ああ、飲み物買いに行ったのか、で、どう?リン先生、少しは楽になったかな?」
マサハルさんは俺の額に手をあてる。
「はい……だいぶ」
「良かった。リン先生の熱が下がらないって小麦がそうとう焦っててさ」
そう言ってクスクス笑うマサハルさん。
「あいつが焦る事ってあんま、ないからさ。愛されてるねリン先生」
マサハルさんの手の温かさは小麦みたいでなんか、安心する。
「あの、マサハルさんって、小麦の?」
小麦のなに?
少し似てるから、親族かなあ?
「マサハルさんって、なんか新鮮。俺は小麦の叔父にあたる。」
叔父………やっぱり!!似てるもん!!
「リン先生の話は小麦から良く聞いてるよ」
そう言って微笑むマサハルさんは小麦の笑い方と似ていて少し不安が無くなった。
「リン先生は霊感あるんでしょ?」
「えっ?」
そんな事まで話しているのか小麦は。
「リン先生が見ている方に犬がいた。可愛がってた犬でしょ?すごく、尻尾振って先生大好きって身体全部で言っている」
えっ?って思った。
この人も視える人?
「小麦ほどじゃないけど、視える人だよ」
心の声まで聞ける人なのか?この人は。
考えている事を答えられた。
「リン先生は熱がある時にだけ視えるのかな?」
マサハルさんの手が額に当てられる。
「小麦がね、そう言ってた。視えなくなるのが嫌だから、病院にいきたくないってダダこねるって」
マサハルさんの手が頬に。
そして、親指かな?唇を触ってきた。
「プニプニ」
そう言ってマサハルさんの顔が近付いてきて、
コツンと額同士があたった。
「熱高いね」
び…………ビックリしたあ!!
キスされるのかと思ったあああ!!
あああ!もう、顔が熱い!!
「マサ兄なんしてんだよ?」
小麦の声が聞こえてきた。
「熱計ってた」
「もうさ、その額で熱計るクセ止めろよ!俺にまでするじゃん!!」
小麦がなんだか怒っている。しかも、さっきの見られてたんだ。
しかも、 小麦もされてんだな。
「リンから離れろよ」
小麦は間を割ってマサハルさんとベッドの間に入ってきた。
「マサ兄、リンに水飲ませるから水差し持ってきてよ」
なんだか威嚇しているように見えるんだけど?気のせい?
「はいはい」
マサハルさんは小麦の頭をワシャワシャっと撫でると病室を出て行った。
「リン、大丈夫?」
額に手をあてる小麦。
「うん、ごめんね。迷惑かけて」
「いいよ、治ったらご奉仕してもらうから」
「うん、わかった」
返事をすると小麦はなんだか驚いた顔をして俺を見る。なんで?
「本当にやってくれんの?」
「うん、するよ?」
「絶対?」
「うん、迷惑かけたの俺だもん。病院に行きたくないとか子供みたいにごめん」
これは本当。
子供みたいだった。俺、先生なのにさ。
冷静になると恥ずかしい。
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