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【篠原くんをご指名2】
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重い扉の向こうには井岡がいた。
こく、こく…と、完全に居眠り体制の井岡を見ると、呑気なもんだな、とため息がでる。
俺はただの性処理委員。
もう井岡の先輩でも、友達でもない。こいつが俺を抱く理由なんて「処理」が目的なわけで、それしかないわけで。
一年の時から性処理委員だった石川や小西達と違って、学年が上がってから性処理委員になった人間は、この学校では「処理委員落ち」と呼ばれる。文字通り、そういうレッテルを貼られるってこと。
俺は石川みたいに快楽を受け入れることはできないし、小西みたいに誰かの専属にもなれない。近衛みたいに初々しい態度も取れないし、園田みたいに男を魅了することもできない。平松みたいに抵抗することもなければ、関のように自分を売ることも、森本のように誰かを庇うことも、植野のように処理を楽しむことも、村井のように辛いことを笑うことも、できない。本当に、何にもない、空っぽ人間。誰にでも無関心、自分にさえも無関心。
そんな俺にいつも笑いかけてくれた井岡ですら、俺を「処理委員落ち」だと認識しているんだから、もうほんと、なんも救われやしない。
誰も救われやしない、こんな制度。
「井岡、起きな。」
井岡のがっしりとした肩を軽くゆすると、切れ長の綺麗な目がゆっくりと開いた。そして俺を数秒見つめて、へにゃり、と笑う。「あー、篠原さんだ」って、そんなこと言って、笑う。
「遅いから、こないかと思った」
「…そんなわけないでしょ、仕事なのに」
「うん、へへ。先輩、お久しぶりです。」
デカイ手がゆっくりと伸びてきて、俺の頬に触れた。びく、っとする俺を見て、井岡はまた目尻にシワを寄せて笑いながら、ぎゅっと抱きしめてきた。わけ、わかんないでしょ。いつもこうなの。すーすーする脚を隠すように、ワイシャツの裾を握りしめる。
「先輩、シャンプーの匂いすんね」
「シャワーしたから」
「先輩、次のライブ見にくる?」
「行かない」
「やっぱり。俺たちトリなのに」
「…行けないの」
「…うん。そうだよなぁ。」
するり
井岡の指が俺の髪を撫でる、壊れ物に触るように、優しい手つきがいちいち苦しい。乱暴に痛めつけてくれたほうが何倍もマシだ。
「先輩のバァカ、処理委員になっちゃうなんて」
「まあ、慣れたら別に辛くないよ。授業でなくていいし」
「はは、嘘だぁ。だって先輩、いつも泣きそうな顔してる」
「気のせい。ほら、俺この後も処理頼まれてんだからさ、さっさとヤっちゃおう?」
常に無表情な俺の表情の変化なんて、俺でさえわからないのにお前が分かるわけないだろ。そんなこと言っちゃって、俺が動揺するとでも思ってんのかなぁ。
俺はもう諦めたんだ。
男に好き勝手されるって決まったあの日から、お前にこの気持ちは伝えないって誓ったんだ。でもさ、でも、もうちょっとだけ、お前のこと好きでいさせてくれよ。
どんなやつに犯されても、目を瞑ってお前のこと考えてたら耐えられる、そんな気がするんだ。
俺が誘えば、井岡は必ず苦笑を漏らす。見てないフリ、知らないフリしてるけど、お前はきっと俺を抱きたいわけじゃない。わかってるよ、お前は優しいからね。とってもとっても、優しいから。
「こんなえっちな格好して来るなんて、先輩も卑怯ですね」
髪を撫でていた井岡の手が、するする、と背中を撫でながら下に降りてくる。ぺろん、とシャツをめくって、やわやわと俺のケツを揉む井岡。
「処理委員だからな」
「うっそだぁ、先輩って、…ううんなんでもないです。」
「なに、気になる、っん!」
「うぁ、どろっどろになってるじゃん、後ろ。準備万端にしてきたんですか」
くちゅぅっ、と音を鳴らしながら、井岡の指を飲み込む俺のアナル。さっき村井に存分に慣らしてもらったそこは、井岡の指に絡みついていく。自分でも分かる、とんでもないカラダになったもんだよ。
「…っは、そこ、いじんの、好きだね。浅いとこばっかり、」
「先輩が気持ち良さそうにするから」
「誰が…!あっ!ぁ、んんっ、んっ」
「でも浅いとこより、こうやってゆっくりナカ擦られるほうが好きだもんね?」
井岡の長い指が、俺のイイところを的確についてくる。井岡は俺の常連、井岡だけは俺しか指名しない、だからイイトコもイヤなとこも全部バレてる。
ぐちゅっ、ぐちゅにゅるっ、
中に溶けていたローションが、かきまぜられて気持ちいい。井岡の膝に座って、快感に堪える。
「…先輩、腰揺れてるよ」
「うるさいね、お前がトロいからでしょ」
「じゃあさ、挿れてよ、自分で。ほら、触って、俺のココももう勃ってる。先輩がえっちだから」
「あ、はは、硬。美味しそう」
「………もう、立派な性処理委員だね」
井岡のズボンのチャックを開けて、パンツをすこしズラすと、ガッチガチになってるチンコが飛び出してきた。ぐちゅ、ぐちゅ、もう我慢汁まで出てる。えっちなのはどっちだよ。
それを軽く右手でつかんで、ぐりぐり、と亀頭を弄る。どぷっ、と溢れでてくる先走り、はやく挿れたそうにしてる顔。
「挿れるよ?俺の腰、ちょっと支えてて」
膝に座っていた俺は、ゆっくりと腰を浮かせてアナルに井岡のチンコをぴっとりと当てがった。
にゅぷっ、
ひくひく、と開閉を繰り返していた俺のアナルは、待ち望んでいたかのように先端を飲み込んでいく。く、るしい、というか、亀頭を挿れきるまでは、ツライ。きゅ、きゅ、とアナルを締め付けながら、ゆっくりと腰を落としていく。あ、は、太いなぁ、相変わらず。
「っあ!」
「ひ、ッ、あ…お前、なぁ…!」
チンコを全部飲み込もうとしたときだった。先端をちょっと挿れただけなのに、井岡のチンコがぴくぴくと痙攣する。…早漏。
中に収まりきらなかった精液が、チンコを飲み込んでるアナルの隙間から溢れ出してくる。ただでさえローションなんてつかって滑りが良くなってんのに、そこに精液なんて注がれてみろ、ぐっちゅぐちゅのどろどろだよ、もう。
「ご、ごめん先輩、あっ、っちょ、ぬい、抜いて…!」
「ん、ン!バカじゃ、ないの、抜くわけないでしょッ!」
「ダメだって、ほんと、…!」
立て続けにやってくる快感の波に耐えきれない様子の井岡が、いやいやと首を振りながら俺を引き剥がそうとした、や、そんなに揺すらないで…!
その衝撃に、ずるっ、と井岡の肩に置いていた俺の手が滑った。
「んぁ、ぁっ!あんんっ!」
ずぷずぷっ、ぢゅぷっ!
せっかくゆっくり腰を落としていたのに、いきなり奥深くまで突き刺さる。目の前がチカチカとした、真っ白になる頭と、震えるカラダ。びゅくっびゅく!と飛び散る俺の精液。
「ひ、ィ…ん、は、はぁ、あ、苦し、いおか、ぁ、苦しい…!」
「ちょ、っと!先輩!締め付けないで、ほら、俺また出ちゃう…!」
「あ、だめ…!ァ、あ…だめ、っう、あ」
ぴく、ぴく、
腹の中があったかい、何回出せば気が済むわけ、まじ、苦しい。
息を吐きながらぐちゅ、ぐちゅ、と軽く抜き差しを繰り返す。カリがいいとこに当たるたびに、みっともない声が漏れる。俺、あんまり喘がないのに、これは、気持ちいい。
きっと相手が井岡だから、だ。わかってるけど、調教が済んでる俺のカラダは快楽に貪欲らしい。
じゅぷ!じゅぷ!じゅぷ!ぐちゅ!くちゅ、ぐにゅ!
「あ、あっ、ぁ!あ…ぁっ!ん、」
「せ、んぱい…また、出る…!」
「は、ぁ、んんっ!何回でも、出して、いいから…!早く俺をイかせて…!」
井岡の両手が俺の尻たぶを鷲掴みにして、拡げる。さらにスムーズに出入りするチンコが、奥の方をゆっくりとこすると、もう、ほんと、泣きたいぐらい気持ちいい。井岡、と、セックスしてる。セックス、してる。
お前にとってはただの処理でも、俺にとっては、
「あんっ!あ、ぁっ!そ、こ…!いい、」
「先輩が腰振ってちゃ、どこかわかんないすよ…!」
「ん!あ!あ!こ、ここ、覚えて…っ!」
「っ!先輩…っ!」
「んや、ぁ!あ!」
腰を掴まれて、そこを狙われると、堪らない。もう、ダメだ、出ちゃう…!
「…先輩、先輩、泣かないでよ、先輩…」
「泣いて、なんか…!な、い…!」
「先輩、……明さん、」
「あ!ぁ!名前呼ぶな、バカ…ぁ!」
びゅるっ!びゅく、びゅく、
耳元で、名前を呼ばれてイってしまった。どうしよう、どうか俺の気持ち、バレませんように。
「ねぇ、先輩」
「うるさいよ、何回も中に出してさ。後処理大変なんだから」
「…出していいっていったじゃん」
「それはお前が、…処理対象だからだよ」
「本当に?」
「うん、本当に」
「本当にそれだけ?」
壁に手をついて、アナルに指をつっこんで、井岡の精液をかきだしていると、井岡が真剣な眼差しで俺と目を合わせてくる。
いつもへにゃり、としているくせに、こういう時だけそんな顔して、ほんとずるい子。
「それ以外になにがあるの」
そしてそれをしれっとした顔で躱す俺は、もっとずるい子。
「嘘だぁ。先輩、俺きいたよ。先輩ってさ、他の人の処理してるとき、ずっと目を瞑ってるんですよね?」
「…だから、なに」
「じゃあどうして俺の処理をするときは、そんなにじっと俺のこと見つめるの」
「答えて」と言って俺の髪を撫でるのは、本当にずるいし最低だと思う。でもな、俺もう決めたんだ。お前にこの気持ちは言わないって。それに処理委員は、恋愛禁止だし。
お前に恋してるなんて、言っちゃだめなんだよ。
「お前の早漏が治ったら、教えてあげる。ほら、早く出て行って。次の処理もここでやんなきゃいけないの」
もう、あんまり話たくない。ボロがでたら困るし。後処理もそのままに、グイグイと井岡の背中を押して、ドアの前まで追い出す。井岡は俺の態度を責めるわけでもなく、困ったような顔をして、「先輩、」と声をかけてきた。
「待ってるね」
それだけ言って放送室から井岡は出て行った。ぱたん、と閉じられた重いドア。
ねえ、やだよ。そんなこと言わないで。
俺はただの性処理委員。仕事内容は生徒や先生の性欲の処理をすること。しかも俺は「処理委員落ち」
お前には釣り合わない。
「…ライブ、がんばんなよ」
見に行ってやれないけど。
防音の放送室に、か細い俺の声が小さく響いた。
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