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住み込み生活 1
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「よーし、乾杯っ」
社長が高々とグラスを上げた。
奏と、高遠さんと、社長と、俺。
リビングのテーブルに集い、社長の言葉にグラスを傾ける。
仕事の合間をぬって徐々に荷物を運び込み、今日から本格的に住み込み生活が始まる。
ここに来るたびに奏と会話をして、色んな事が判明した。
まず奏と社長だけじゃなく、高遠さんも高校からの同級生だということ。
仲のいいこの人たちは、しょっちゅう集まり酒盛りをしているらしい。
場所はいつも、この家。
この家は、奏が7年前に建てた、自宅件、レコーディングスタジオ。
7年前っていうと、23。
23でこんなけの豪邸建てれるって、どんだけ稼いでんだろ…。
奏の自宅らしいが、土地も外装も内装も全て高遠さんが決めたらしい。
高遠さんの家は大手不動産会社。
そりゃもう、知らない者はいないぐらいの、ビッグな会社だ。
奏は、寝起きができてレコーディングが出来る家建ててくれって言っただけだ、と笑っていた。
そして3人が通っていたのは、超有名私立男子校。
金持ちが集まる、偏差値のバカ高い高校だ。
社長も実家は財閥だとか。
何気に、奏も実家は会社経営とかしてんの?と聞いたら、予想外な答えが返ってきた。
なんと、母親は海外を飛び回り公演を開く、オペラ歌手。
母親はイギリスとイタリアのハーフらしく、奏は母親に激似らしい。
そして父親は、映画音楽の作曲家。
聞けば出てくる出てくる、超有名ヒット映画の名前。
日本人の父親は、海外で音楽の仕事がしたいと、渡米。
そこでオペラ歌手として公演に来ていた母親と恋に落ち、今にいたるらしい。
父親は母親の公演には必ずついてまわり、傍らで作曲、レコーディングを行っているとか。
奏は、日本とイタリアとイギリスの血が混じってるってことになる。
日本と外国の血が混じっているから、奏はハーフ。
14歳までは奏も両親についていろんな国を回っていたらしい。
だけど高校へ入学を機に、ひとり父親の母国である日本へ。
日本語は、日常的に父親から教わっていたから問題なかったらしい。
そして全寮制であるあの超有名私立男子校、青藍(セイラン)学園へ入学し、社長と高遠さんに出会ったそうだ。
両親の写真を見せてもらったが、どちらも50歳を超えたようには見えないほど、若々しかった。
うん、奏の童顔は、完璧遺伝だ。
「俺初めて本屋で会ったとき、奏のこと女の子だと思ったんですよ。
まぁ次の瞬間、自分の事を俺って言うし声も男のもんだったから、男か!って思いましたけど」
「あっはっは!高校入学んとき俺も思った!男子校に女子が混ざってるって」
「そんでお前は普通に俺の胸触って確かめたんだよな、葵」
酒盛りを初めて1時間。
最初は全員ビールだったが、今や思い思い自分の好きなものを飲んでいる。
俺は今、焼酎。高遠さんが持ってきてくれた。なんかツボみたいなのに入ってるやつで、たぶんすんごい高いとおもう。
「そうそう。いきなり鷲掴み。もし奏がマジに女だったらどーすんだよって話」
「なんだよ、肇。お前だって気になってたじゃねーか」
「いや、そのうち分かるだろ。風呂とか入る機会あるんだし」
「胸鷲掴みとかありえないっすよ、社長」
ホント、何やってんだこの人。
脱線した話を戻す。
「男って分かっても未成年って思ってたんで、五万ぐらい本買って、そんでカード出して、しかも店員普通に対応してるから何者だとか思いました」
「しがない作曲家だよ」
「いやいや、しがない人が五万分も本買わないから」
「あの本屋、奏常連客なんだよ。いつもジャケ買い。俺が連れてくんだよ。
あ、そういやあの日奏を送ってくれたんだよな。サンキュ」
「店出たらお前いないし。置いてくとか、マジ鬼畜だな」
「あ、あの電話の相手高遠さんだったんですね」
「急にレーベルの社長に呼び出されてね。奏も大人なんだし帰れると思って」
「車アテにして本買ったし、持ち歩けるワケねっつの」
「自分で運転して行けばいいんじゃないの?」
俺の言葉に高遠さんと社長は笑い出し、奏はバツが悪そうにそっぽを向く。
「え?何?」
社長が笑いながら答えてくれる。
「こいつに、生涯運転禁止令出してんだよ」
「は?」
なにそれ。
「こいつ、壊滅的に運転センスねーの。
1ヶ月の間に7回も事故起こして、このままじゃいつか人殺す!って俺と肇が禁止令出したんだよ」
1ヶ月で7回とか…えー。
失礼ながらも呆れた視線を送る。
「…奏。それはしない方がいいよ。これからお世話になるし、俺車出すから」
「篤は自分で運転して仕事行くもんな。偉いぞー」
「社長が自分でしろっつったんでしょ」
「ハハっ。まーな」
「ね?俺が連れてってあげるよ、本屋」
「そりゃどーも。」
少しぶすっくれながら答える奏に笑いが漏れる。
「ってか、あんなにたくさん本買ってどうするの?」
「読むに決まってんだろ」
「奏は無類の本好きでね。書斎に行ってみるといい。ありとあらゆる本揃ってるから」
「肇だって好きだろ」
「好きだけど奏には負けるよ」
へぇ〜そんなにいっぱいあるんだ。今度見てみよ。
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