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住み込み生活 2
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わいわいと話をしながら酒を飲み、現在時刻は日付も変わり午前2時。
「強いのな、篤」
30分ほど前に高遠さんと社長は帰り、今は奏と二人。
「家族みんなザルなんで。遺伝かな」
「うらやまし」
途中奏だけが潰れ、ソファで寝てしまった。
そして高遠さんと社長が帰った後すぐに目を覚ました。
「片付けも。さんきゅーな」
「いいよ」
奏はふっと笑うとソファから立ち上がり、グーッと伸びをする。
「風呂入る」
「はーい」
返事をすると、奏は何か思いついたように、あ、とこっちを見てくる。
「一緒に入ろうぜ?裸の付き合いも大事だろ」
「は?」
「ほら、行くぞー」
と、クイっと腕を引かれる。
「え、ちょ、マジで?」
「マジマジー。男同士なんだから、別にいいだろ?」
…そうだよね、男同士なんだし、ね。
引っ張られるがままついてきたのは、もちろんバスルーム。
早く脱げー、と男らしくバッサバッサ服を脱ぎ、中へと入っていった。
とりあえず俺も服を脱ぎ中に入ると、奏は頭からシャワーを浴びていた。
湯気が立ち込める中、その後姿に、ドキン…とする。
細い体、引き締まった腰、触り心地のよさそうな、白い肌。
…おいおい、俺。相手は、お・と・こ!
と強く思っていると、奏がくるりと振り向き、そして一言。
「うっわ、でっか。」
奏の視線は、下。
「…どこ見てんのさ」
「ハハっ。いいだろ、別に。減るもんでもないし」
ケラケラ笑い、シャワーからどいた奏。
その時に、チラリと奏の前を見る。
「…うっすいね」
「いやん、篤のエッチ」
湯船に浸かっている奏は肩越しに振り返り、流し目を送ってきた。
……なんか色々まずい気がする。
誤魔化すためにシャワーのノズルを掴んで、顔にかけてやった。
「あーもう。何すんだよ」
「くだんねーこと言うからです」
「ハハっ。
そうなんだよなー。すね毛もあんまないし、髭もはえねーんだよ。
俺、男性ホルモンどっか落っことしたかな」
「童顔だしね」
「それホルモン関係なくね?」
俺も湯舟に浸かってから改めて風呂を見渡した。
…すんげぇ、広い。
バスタブなんて、人が3人足延ばしても余裕がありそうだ。
「あー気持ち」
浴槽の縁に頭をのっけて目を閉じる奏。
口角がきゅっと上がってるところを見ると、本当に気持ちよさそうだ。
「風呂好きなの?」
「んー。日本に来て好きになった。
海外はユニットバスが基本だろ?だから、浸かるなんてしなかったし。
高校の大浴場に初めて行ったときは衝撃的だった」
「集団で入ってるのが?」
「そうそう。でもすぐハマってさ。
んでも始めはすーぐのぼせて倒れて、肇や葵が世話してくれてたなー」
思い出したのか、クスっと笑う奏。
「奏は、昔から作曲家になろうと思ってたの?」
「いや?
小さい頃からそこに音楽があるのが当たり前で、あくまで曲を作ったり詩を書くのは趣味だった」
「そうなんだ。じゃあ何で作詞兼、作曲家に?」
「高校のときに、肇と葵がおもしろがって投稿したんだよ。某アイドルが、一般から楽曲を募るイベントがあってさ。
それで選ばれたのがきっかけ」
パシャン…と水音をたて、頭を縁から上げ座り直す奏。
「俺が作詞して作曲した歌が異例の大ヒット。事務所が、もう一曲お願いしますって言ってきてさ。
あいつらますますおもしろがって、今の俺…¨KANADE¨を造りあげて、売り込んだんだ」
クックッと笑い、髪の毛をかきあげる。
俺はじっとそのしぐさを見つめた。
「そんでまぁ、高校を卒業して大学に通う傍ら、本格的に活動したってわけ」
「そうだったんだ」
「¨KANADE¨誕生秘話。誰にも話すなよ?」
「うん」
お互い交代で体を洗い、再び湯舟に浸かる。
「篤は?何でモデルに?スカウトか?」
次は俺のことを聞いてきた奏。
「うん。高1の時にね」
「背高いもんな。何センチ?」
「今は189。スカウトされたときは184だったけど高校の間に5cm伸びた」
そう言うと、奏はムッツリとして不満顔。
「…俺なんて15から背伸びてないのに。不公平だ」
「ハハっ。奏は何センチ?」
「…167」
「ちっさ」
「言うな」
ぶすくれたまま、睨んでくる。
けど、少し赤みの増したほっぺで睨まれても全然怖くない。
「しっかし綺麗な髪だね。さわってい?」
「いいぞー」
手を伸ばして奏の髪を撫でる。
柔らかい。今は濡れてるからアレだけど、乾いてたらサラッサラなんだろなー。
「いいなぁ、明るい髪」
「そうか?俺はお前みたいな黒髪好きだぞ?俺もお前みたいに生まれてきたかったなー。
黒い髪に、黒い瞳。男らしい精悍な顔つきに、高い身長。
さすが爽やかイケメン特集に載るだけあるよな」
「…なんか照れる」
奏はハハっと笑い、俺の髪を触ってくる。
「けっこう固いんだな」
「うん。だからずっと短髪。セット楽だけどね。
奏はずっと長いの?」
「これはただ単に切りにいくのがめんどくさくなった結果。ほっといたら伸びた」
「でも似合ってるよ、長いの」
「そ?そろそろ切るかと思ってたけど、そう言ってくれんなら止めとくか」
「うん」
のぼせる前に風呂から出て、俺達はそれぞれ部屋に向かう。
俺に宛てがわれたのは2階の角部屋。
向かい側が奏の部屋で、高遠さんと社長の部屋もあるらしい。
「じゃ、オヤスミ」
ニコリと笑った奏。一歩近づいてきたかと思う、と。
ちゅっというリップ音。
…え。
「っとぉ、わりぃ、癖だ。小さい頃の習慣ってなかなか抜けねーんだよ」
…頬にちゅーされた。
「ま、気にすんな。挨拶だよ、挨拶。
んじゃなー。明日は午前中いっぱいたっぷり寝とけ」
ヒラヒラと手を振り、自室に入っていく奏。
パタン…と閉まる音がして、俺も部屋に入る。
…さっきから、うるさいよ。
バクバク…と、鳴りつづける心臓。
なんか…色々と、人を振り回す人だな、奏って。
ベッドに寝転がり、携帯のアラームを11時に設定する。
明日は仕事はない。
だから昼から指導を開始すると言われていた。
目を閉じると、浮かぶ笑顔。
しばらくして訪れた眠気に吸い寄せられるように、夢の中へと落ちていった──…。
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