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自分の気持ち 3
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「自分たちも日本に行くって両親は言ったんだけどさ。
俺は自分の仕事に誇りを持って、楽しそうに仕事をする二人が好きだって説き伏せて、一人で日本に来た。
両親が出した条件は、セキュリティがちゃんとした学園に通うこと。
それでおじさんが奨めたのが、青学。だから俺は青学に入学して、肇と葵に会ったんだ」
出会いは衝撃だったけどな、と笑う。
社長の行動を思い出した。
「初めは隠せたんだ、自分じゃできないこと。
俺だって青少年だし、朝立ちもすりゃ、興奮だってするけど、寮は個室だったし。
だから治まるまで待ってたんだ。でも肇と葵にバレてさ。
あいつらが抜いてやるって言い出したんだよ。
セックス出来ないワケじゃないから恋人作りゃいい話なんだけど、その時は作る気分でもなかったし。
だから、二人に甘えた」
…そうだったんだ。
というか、高遠さんだけじゃなく社長も奏に触れてたんだと思うと、やっぱりモヤモヤするし、イライラする。
それに…。
「…じゃあ、恋人、いた時あるの?」
¨その時は¨ってことは、ちがう時があったってこと…だよね…?
「俺もう30だぞ?そりゃいた時だってある。モテないわけじゃなかったし」
「それって…女?男?」
「あぁ、男。俺、ゲイだから。ちっちゃい頃から目が行くのは男ばっかだったし」
「…そう」
何だろう、すっげー落ち込む。
「…やっぱり気持ち悪いか?」
俺の落ち込み具合を勘違いしたのか、不安そうに聞いてくる。
「そんなこと思ってない!」
力一杯否定すると、安心した顔をした。
「最近は二人にもういいって言ってたんだ。
もう30だし、いつまでも二人に甘えるわけにはいかないし。
だけど今日居眠りしてたら、肇が書類取りに来たみたいでさ。
俺のが反応してたらしく、いつもの調子でズボン脱がされて…目ぇ覚めたばっかで抵抗らしい抵抗も出来ずに抜かれちまった」
あーぁ、と声をもらし、天井を見上げる奏。白くて細い首が露わになる。
その時俺は、その白い喉に噛み付きたい──無性にそう思った。
あぁ、俺はーーーー。
「ま、そんなワケだ。俺とあいつらはそんな関係じゃねーよ。
むしろあいつらが…」
奏が続けて何か言いかけたところで、俺は奏の隣に移動する。
俺の急な行動に、奏は不思議そうな顔をした。
「篤?どうした?」
俺の顔を覗き込む奏の目をじっと見る。
「俺が、奏のをしてあげる」
「…は?」
「だから、高遠さんや社長の代わりに、今度は俺がする」
奏の目が驚きで見開かれる。
高遠さんと社長にモヤモヤ、イライラした。
奏を誰にも触られたくないと思った。
奏の喉に噛み付きたいと思った。
それらは、嫉妬、独占欲、欲情。
奏の泣きそうな顔に、胸がざわついた。
奏の笑顔にいつも胸が高鳴った。
奏のことを知っていくと、嬉しかった。
それらは全て、¨好き¨だから。
俺は、奏が、好きだ。
今気づいた、自分の気持ち。
きっと、初めて奏を見た瞬間から──惹かれてた。
一目惚れって、いうのかな。
「ねぇ、俺じゃダメ?」
すると奏は、ふっと笑う。それは優しい笑顔で。
「ダメ、だ。お前にそんな事させるわけにはいかない」
きっぱりと断られる。
その時に頭に浮かんだのは、今日ずっと思い悩んだ言葉。
「俺が、¨商品¨だから?」
すると奏は、少し間を開けて頷いた。
「そうだ。お前は俺の¨商品¨だ。だから、させるわけにはいかないんだよ」
その言葉に俺は、俺と奏の間に壁を感じた。
高遠さんと社長は、奏の側にいることも。
俺は奏に踏み入ることもできない、イチ商品なんだってことも。
でも。
だったら、その壁を壊してやる。
こんなに、一人の人間に揺さぶられたのは、初めてで。
今はただの¨商品¨でも──絶対意識させてやる。
何が何でも、そっち側に行ってやる。
「商品…か。じゃあ、商品じゃなくなったら、奏のをさせてね」
ニコリと笑いかけ、軽く奏に揺さぶりをかける。
「は?」
「話してくれてありがと。晩ご飯作ろっか」
「ちょ、おい、」
「今日シチューだっけ?」
慌てる奏の言葉を流し、俺はキッチンに立つ。
しばらくしてから、奏もキッチンにやってきた。
「……」
うかがうように無言で俺を見てくる奏。
それをスルーして、話しかける。
「奏はサラダ作ってくれる?」
「…おう」
そして黙々と野菜を洗い始めた。
…少しは、意識してくれたかな?
そう思うと、顔が綻ぶ。
じっとうかがい見てくる視線をたまに感じたが、俺達はいつも通りの夕飯を過ごし、それぞれ風呂に入り、俺の仕事のや奏の仕事の話をしながらコーヒーを飲んだ。
もう部屋に行くという奏に俺も、と一緒に二回に行って、部屋の前で挨拶をする。
「おやすみ、奏」
「ん、おやすみ」
部屋に入り、ベッドに倒れこむ。
考えるのは、過去のこと。
今まで付き合ってきたのは、もちろん女の子だった。
でも全て告白されてただなんとなく…という感じだった。
付き合っている間はそれなりに好きだったし、大事にしていた。
だけど、こんなにも¨欲しい¨と欲が出るぐらい好きになったのは初めてだった。
しかも、10歳も年上の、男に。
過去の話をしてくれているとき。
震える手を見て、その手を握ってやりたい、奏を抱きしめてやりたいと思った。
切なくて、たまらなかった。
自分自身、驚きはしたが、¨好き¨がすんなりと自分の心になじんだんだ。
奏の甘い声を思い出す。
あの声を出させたのが高遠さんだということが悔しいけど…思い出すだけで、欲望が生まれる。
奏に触れたい、奏を感じたい──と。
「…ヤベ。」
中心に集まる熱。
奏ができない自慰行為に若干ためらいはしたものの…治まる様子はない。
目を閉じ、奏を想う。
「……っ、奏…っ」
俺は、奏が、好きだ。
走り出した、自分の気持ち。
奏を想いながら、俺の夜は更けていった──…。
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