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愉快な仲間たち 5
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翌朝。
リビングに降りると、聖夜さんが一人でコーヒーを飲んでいた。
「おはようございます。早いっすね」
今は7時半。
俺はただ喉が渇いて降りてきただけだけど、聖夜さんは着替えも済ませているし寝起きという感じはしない。
「おはよ。あぁ、ちょっと寝れなくて…な」
「え?大丈夫ですか?どっか具合でも…」
と、その時インターホンの音が響く。
「朝早くから誰だろ…」
リビングを出て行こうとした俺を、聖夜さんが呼び止めた。
「いい、篤。俺が出る」
「え?あ、」
俺の前を通り過ぎ、リビングから出て行ってしまった。
「…?何だろ…」
気にはなったものの、俺はとりあえず喉を潤すべく冷蔵庫からポカリを取り出し、飲む。
カチャ…っとドアの音がしたので、聖夜さんが戻ってきたんだろうと振り向くと、そこには呆れた笑顔を浮かべた奏がいた。
「あ、おはよ、篤。早いな」
「おはよ。喉渇いて…奏こそ早いね」
「半分起きてたら、インターホン鳴ったからさ」
奏もキッチンに入ってきて、野菜ジュースを取り出しグラスについだ。
「あ、聖夜さんが出るって…」
「知ってる。見た」
あぁ、そっか。
リビング出ると玄関まで一直線だし、姿が見えるもんね。
「誰だったの?あ、奏たちの同級生?ってか、遅いね?」
玄関から一向に戻ってこない聖夜さん。
「…見てくれば?」
奏はニヤっと笑ってクイっと野菜ジュースを飲み干した。
ん?何だろ…?
奏に言われた通り、リビングのドアから玄関を覗く。
──わ、わゎっ!うわ、ちょっ…!
俺は慌ててドアを閉め、奏を振り返る。
玄関に居たのは、抱きしめ合う二人の姿。
片方は、勿論聖夜さん。
もう片方は、聖夜さんより頭一つ分ほど背の高い、男性。
聖夜さんを覆いつくすように抱きしめ、唇を喰わんばかりに奪っていた。
そして聖夜さんは縋り付くように必死に相手の服を握りしめ、キスに応えていたのだ。
な、生で人のキスシーン初めて見た…。
しかも、濃厚な。
「アレ、聖夜の恋人。俺らの1コ上の先輩」
俺の慌てぶりにクックッと笑いながら、片方の男性を誰か説明してくれた。
ってか、言われなくてもあんな事してたら恋人って分かるよ…。
「…なんか、目撃した俺が恥ずかしい…」
まだ心臓がバクバクいってる…。
「…わざわざ聖夜さんを迎えに来たのかな?」
「たぶん聖夜が呼んだんだろ。
あいつ、朝方になると一人で寝てんのが寂しくなるんだよ。
意地で呼ばない日もあるけど、今日は寂しさが勝ったみたいだなー」
寝れなくて朝早く起きてたんだろ、きっと。
奏が続けて言ったことに、納得する。
寝れなくてって、寂しくてだったんだ…。
「それで迎えに来るなんて、優しい恋人だね」
そう思って言葉にすると、奏はブハッと噴き出した。
「や、優しいとか…!笑える!
隆盛先輩は、聖夜が必ず寂しがるって分かってんだよ。
分かってて、聖夜から来てって言われるまでは絶対来ない。鬼畜だよ、鬼畜」
あー笑った、とお腹をさする奏。
「えー、でも、聖夜さんから電話来るかもって、朝ちゃんと起きて待ってるってことでしょ?
十分優しいじゃん」
すると奏がキョトン…とこっちを見た。
そしてふっと笑う。
「うん。お前の考え方、好きだわ。
そうだよなー。そういや、フォローもちゃんとするんだった、あの人。聖夜にベタ甘だし。
隆盛先輩の鬼畜さに、そこまで考えなかったわ」
「誰が鬼畜だ?町田」
とリビングに響くテノールボイス。
うわ…いい声してる…と声のした方を向く。
そこに居たのは、威圧感のある、めちゃくちゃ整った顔をした男性。
吸い込まれそうな真っ黒い双眸が、奏をじっと見ていた。
「あれ?違いました?」
「合ってる」
と言葉を返したのは、男性の後ろから現れた聖夜さん。
「聖夜だってそう言ってますよー?」
奏がニヤニヤと笑う。
「…聖夜。もう迎えに来ないぞ」
男の人は奏から聖夜さんに視線を移し、ジロリと睨んだ。
「隆盛は来てくれるよ。優しいから」
ニッコリと笑い、自分の恋人を見上げる聖夜さん。
うわ、なんか必殺技って感じ!
「…はぁ。だからお前はタチがわりぃんだよ」
聖夜さんの恋人は、乱暴そうに聖夜さんの頭を混ぜた。
だけど、目はすごく優し気だ。
「そこ。イチャつくな」
奏から的確なツッコミが入る。
「ハイハイ、すいません。
あ、篤。俺の恋人、隆盛。隆盛、こいつは篤な。
ここに居候中」
「あ、はじめまして。日野篤です」
「あぁ。よろしく」
改めて見ると、迫力な男前だなー。
背は数センチ俺のが高いのに、隆盛さんの方が大きく見える。
マッチョではないけど、鍛えられた体してそうだしな。
オーラも半端ないし。
二人並ぶと目立つだろうなぁ。
すっげお似合いのカップル。
…で、やっぱり青学は顔で選んでるだろ、と俺は改めて思った。
二度寝するつもりだったけど、すっかり眠気が飛んだ俺は、4人で朝食タイム。
隆盛さんは聖夜さんの好物らしい、ホットサンドを買ってきてくれていた。
ちゃんと人数分。
やっぱり優しいと思う。
「タマゴうまい」
「そうか、良かったな」
「おう」
二人ともお互いを見つめる間は、とても優しい。
思いが通じ合っている二人が、羨ましいと思った。
「あれ、隆盛先輩来てたんですか」
そこに、高遠さんが起きてきた。
高遠さんはキッチンにコーヒーを入れにいき、空いている椅子に座る。
高遠さんが起きてきたってことは、社長も起きたってことかな?
「社長は?」
社長は隆盛さんの前でも堂々とセクハラしそう。
「あぁ、まだ寝てる」
あ、寝てるんだ。
じゃあ慌ただしくならずにすみそう。
「たぶんしばらく起きれないんじゃないか?潰したから」
黒い笑みを浮かべた高遠さんのその言葉に、奏と聖夜さんの顔が引き攣る。
「よくやった、高遠」
そんな中隆盛さんだけは、ニヤリと笑った。
「ま、起きてきたところで、俺が叩きのめすがな」
「あ、手伝います」
え。なんか二人が怖いです。
「鬼畜こぇー」
「しっ。鬼畜に関わるな、聖夜」
「だな」
と、ヒソヒソ話す声が聞こえた気がした。
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