アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
嘘と真実 5
-
すると奏は、俺を見上げて、目に涙をためながら、笑った。
「うん……わかった」
俺は再び奏を腕に閉じ込めて、抱きしめる。
「はぁぁぁ~っ、奏が腕の中にいるなんて信じらんない」
ぎゅっぎゅっと腕に力を込める。
ほんっと華奢だなぁ。
「俺だって、信じらんねーし……篤が振り向くことは、絶対ないと思ってた。
好意はあっても、友達としてだろーなと思ってたし…」
「えー、ずっと奏に恋愛してたのに」
「言えよ!」
ガバッと顔を上げる奏。
「遠回しには言ったよ?奏の舐めさせてねって」
高遠さんに触られてた日。
今度は俺にさせてって。
俺の言葉の意味に気づいた奏は、かぁっと顔を赤くした。
「わかるかっ!…あれは、篤が同情して言ったんだと思って…」
「そんな風に思ってたの?」
「ふつー、そう思うだろ!ハッキリ言ってくれりゃ……っ」
「あの時は、自分に自信なかったし…奏は俺のこと商品だって言ったから、俺は脈なしなんだと思って…」
そう言うと、奏は、う…アレは……、と言葉につまっていた。
そして、ソロッと俺を見て。
「……そー言わなきゃ、いつか自分の気持ちが抑えられなくて……お前に好きだって言っちまいそーだったから……」
そー言って予防線張ってたんだよ……
なんて、言ったんだ。
そこで湧き上がる疑問。
「奏ってさ…いつから俺のこと好きだったの?」
すげー気になる。
じーっと奏を見ると、奏はうっと言葉につまって目を逸らした。
「…内緒」
「えーー。教えてよ」
「うっせ!内緒ったら内緒!」
絶対言わねーっ!と口を噤む。
「…ま、いーけど」
とアッサリ引き下がった俺に、ホッとする奏。
…聖夜さんとか知ってるかなー。
奏のいないときに聞いちゃお。
なんて心の中で思っとく。
気づけばもう夜の7時。
「ね、奏。お腹空かない?」
「ん?ああ、もうこんな時間か。何か作るか」
「んじゃ一緒に作ろ」
「おぉ」
二人で手をつないでキッチンに行く。
冷蔵庫と相談の結果、親子丼と味噌汁に決定。
二人並んで料理をする。
奏と二人、キッチンに立つのは久々だ。
…なんか、ニヤける。
奏をチラリと見ると、奏もどこか嬉しそう。
俺の視線に気づいたのか、奏が俺を見上げた。
奏は、目を細めて、はにかむように笑う。
その笑顔に、ますます笑みがこぼれた。
ご飯も食べ終わり、俺たちはリビングのソファでまったり中。
奏と同じ空間。
前と違うのは、奏との距離。
隣に座り、俺にもたれかかってテレビを見る奏。
時折目が合っては、お互い笑みを浮かべる。
そんな幸せな時間を、過ごした。
もうすぐ日付も変わる時間になり、明日朝から仕事がある俺はそろそろ帰らなきゃならない。
本音を言うと、このまま奏と一緒にいたいんだけど…
もう出ていっちゃたし、服とかないし…あと、現状を言えば奏は梁瀬さんと付き合ってる状態にあるわけで…すんごい嫌だけど。
ってゆうか、そんなの関係ないんだけど、でも…
なんてぐるぐる考えながら、奏に告げる。
「…奏、そろそろ帰るね」
すると奏は、俺を見上げて、少し寂しそうな表情をした。
…うん、そんな顔やめて。
帰れなくなるじゃんか。
だけど奏は、すぐに笑顔になり、そっか、と頷いた。
玄関まで見送りに来てくれた奏。
「じゃーね。また来るから」
「あぁ…、あの、篤」
「ん?」
奏は真面目な顔をして俺を見上げ、俺のシャツの裾をきゅっと握った。
「俺…ちゃんと、アイツと話し付けるから。
アンタとこれ以上付き合えないって、ハッキリ言うから」
「…うん。待ってるね」
俺のシャツを掴む奏の手を、シャツから離して握る。
奏も、俺の手を握り返してくれた。
「ケジメ、つけたら…ここ、戻ってこい」
「え?」
「今度は住み込みじゃないからな」
それって…
「俺の帰る家にして、いいってこと…?」
すると奏は少し照れくさそうに、あぁ、と頷いた。
俺は奏の手をひき、ぎゅっと抱きしめる。
「嬉しい。ありがと、奏」
奏の腕が、俺の背中にまわる。
少し顔を離して目を合わせた俺たち。
そして自然に顔が近づく。
奏と三度目の、キス。
軽く触れたあと、それは深いものに変わった。
奏の舌に、自分の舌を絡める。
「ふ…ん、ぁ…」
鼻から抜けるような奏の声に、ますます煽られる。
俺はむさぼるように、奏との口付けを味わった。
じっくりと堪能したあと、そっと離れる。
「またね、奏」
「あぁ」
「…次はもっと奏に触れていい?」
なんて言ったら、怒るかなー。
だって、奏可愛すぎなんだもん。
だけど奏は…
「…うん」
なんて、少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら頷いた。
もーー。
ホント可愛すぎて、ヤバイです。
帰り道、俺の顔は緩みきっていたに違いない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 80