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ないしょの話 2
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片づけ続けて、二時間経過。
「ん~っ、終わった…」
グーッと体を伸ばして、ほぐす。
部屋を出てリビングに向かいキッチンをのぞくと、そこでは奏が何やら味見をしていた。
「そーう。何作ってんの?」
「篤。片づけは?」
「終わった」
近寄って、中を覗く。
「わ、うまそー」
煮込まれていたのは、豚の角煮。
ほれ、と言って、俺の口に一口サイズの角煮が。
「うまっ!
何か手伝う?」
「いや、もうこれで終わり。あっち座ってよ」
奏と一緒にリビングのソファでゆったりくつろぐ。
「…篤」
「ん?」
横を向くと、俺の目を真剣に見つめてくる奏。
「ちゃんと、言ったから。アイツに」
「うん」
「もしかしたら、お前の仕事に、圧力かけてくるかもしんねぇ」
「…うん」
「俺がこんなこと言うのなんだけど…」
奏は俺の手をぎゅうっと握った。
「負けんな。何があっても…負けんな」
俺は奏の腕を引っ張って、抱きしめた。
「うん。負けない」
奏がいてくれるから、負けないよ。
しばらくの間俺たちは抱き合ったまま、お互いのぬくもりを感じあっていた。
「んじゃ…カンパーイ!!」
社長の掛け声に、みんなでグラスをカチンと合わす。
社長が酒を調達がてら高遠さんを迎えにいったらしく、二人でご登場。
聖夜さんは遅れてくるらしく、先にこの四人で酒盛りを始めた。
「つーかなんでお前は俺たちに相談しねーんだよー」
俺がこの家を出たことも、奏が脅されていたことも、聖夜さんから聞いたらしい。
社長が奏にそう言いながら絡みだした。
「まったくだ。梁瀬なんかの言うことを聞きやがって」
社長だけじゃなく高遠さんも。
眉間にシワを寄せて、舌打ちをしていた。
奏はバツが悪そうに、目を泳がせている。
「…いや、だって…篤になんかされたらどうしようってそればっかりで…」
なんて言う奏に胸をときめかせる俺。
社長と高遠さんは、深いため息をついていた。
「心配すんな。篤はそんな弱くねぇだろ。なぁ?」
「はい!」
高遠さんの言葉に、俺は力強く頷く。
「それに、そんなんで仕事なんかなくなんねーよ。篤、人気だから」
「へ?」
社長の言葉にまぬけな声が出た。
社長はそんな俺を見て、優しく笑う。
「お前、一緒に仕事したカメラマンとかスタッフとか、あとCM監督とかにすげー気に入られてるよ。
礼儀があって、真剣に仕事に取り組んでて、失敗してもへこたれずにくらいついてくる。
いつも想像以上の作品になるってそう言われる。
だから、自身持て」
社長の言葉が、グッと胸にくる。
「…ハハっ、泣きそっす。…ありがとうございます」
奏は俺を見て、すごく嬉しそうに笑った。
それから一時間ほどして、聖夜さんがやってきた。
玄関まで出迎えに行った俺は、真っ先にお礼を言う。
「聖夜さん!あの…この前はありがとうございました」
「ん?」
「あの時聖夜さんに会わなかったら…一緒に奏の家に来てなかったら、奏とこうしていられなかったから」
すると聖夜さんは、嬉しそうに笑って俺の肩を叩いた。
「奏のこと、よろしく」
「はい!」
リビングに入ると、いつもと同じように社長が聖夜さんに絡んで、それを呆れたような顔をする奏と、頭を叩いてやめさせる高遠さんがいた。
「あ、聖夜さんってもともと水瀬さんと知り合いだったんですか?」
聖夜さんを追いかけて15年…なんてちょっと執念じみた片思い?の水瀬さん。
どーやって知り合ったのか気になった。
「あー和馬な。もともと俺の幼なじみなんだよ。
学祭んときにカメラやってもらうのにアイツ呼んで、そこで聖夜に出会ったワケ」
社長がケラケラ笑いながら説明してくれた。
そしてそんな社長を聖夜さんが睨んでいた。お前のせいで、目が語ってた。
「そーだんったんですか…。
でも個人的に会うぐらいだから、仲はいいんですか?」
聖夜さん、わざわざ撮影スタジオまで来てたし…。
「和馬さんは苦手だけど…写真は好きだからな。
昔アンタの写真は好きだっつったら、写真集出るたびにくれて。
この前も、新しい写真集もらいに行ったんだよ」
「たしかに水瀬さんの撮る風景とか自然とかすごいっすもんねー!」
俺も見るたびに感動する。
「っつかひとりで和馬さんに会ったりして、隆盛先輩大丈夫なの?」
隣にいるお酒からジュースに切り替えた奏が、ニンマリとしながら聞く。
「べつに?
俺が写真好きだって知ってるし、和馬さんは俺のこと恋愛感情じゃないのも知ってるし」
「むしろ聖夜の写真集作れとか本気で考えてそうだよな」
おもしろがっているように見える高遠さん。
聖夜さんはうっ…と言葉につまっていた。
「えー俺もそれ欲しいなー。もちろんヌードだよな!」
なんて言う社長はもちろん、聖夜さんからパンチをくらって超痛そうだ。
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