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ないしょの話 4
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「篤の写真見て惚れてー」
社長が言って
「篤の声聞いて惚れて」
高遠さんが続いて
「で、篤に歌のラブレター送ったって言っただけだぞー」
聖夜さんが締めくくった。
「―――は?」
奏はポカンとした表情。
そして瞬時に状況を悟って…みるみるうちに、奏の顔が真っ赤に染まった。
…耳まで。
「おっおまえらぁぁぁっ…!!」
叫ぶ奏、笑う三人。
「あっ篤…っ、あの、その…な!」
焦る奏に、俺は思わず笑顔になる。
だって焦るってことは、全部本当だってことでしょ?
嬉しすぎて、どーにかなりそう。
「奏…」
「いやっ、だから…!」
「落ち着いて、奏」
なんか焦る奏を見てたら、なんか落ち着いた。
奏の手をぎゅっと手を握る。
「…あ…、うん…」
まだ真っ赤な顔で、目を泳がせて、落ち着かない奏。
そんな奏が、愛おしい。
「ありがとう、奏。すげー嬉しい。
俺…頑張って、歌うからね」
奏がくれた“ラブレター”。
そう言うと奏はますます真っ赤になって、うぅぅ…ってうなって…だけど、最高に可愛い笑顔で、コクリと頷いた。
「あー、アツイアツイ。」
「ほっといてやれ。今幸せなんだろ」
「いやー、奏もデレるんだな」
「……お前ら、うるさい」
聖夜さん、高遠さん、社長を順に睨む奏。
うん、だけどね、奏。
そんな真っ赤じゃ可愛いだけだよ。
「…というか、みなさん知ってたんですね、えっと、その…奏の気持ち…」
自分で言うと、なんか恥ずかしいぞ。
「知ってるも何も、リアルタイムで相談されてたし。
いや、相談っつーかノロケ?」
「聖夜っ」
「あんなけ勢いよく聞いてきたら、惚れてんのまるわかりだしなぁ」
「ちょ、黙っとけ、葵」
「っつーか、お前の気持ちもまるわかりだったぞ、篤」
「へ?」
高遠さんからの名指し。
え?まるわかり?え?
「あー、俺も気づいてた。お前単純だし」
え?社長まで…え?気づいてた?
「俺なんて初対面で気づいたし。
三人で、早くくっつけよアイツらーって焦れてたんだよな」
いや、確かに聖夜さんには初対面でバレちゃったけど…!
高遠さんと社長にまで…!
「お前ら…気づいてたんなら言えよ!!」
固まる俺の横で奏が叫んだ。
「アホか。俺らから言ったってお前どーせ信じねーだろうが。
“それはきっと友達とかの意味だ”とか言って」
聖夜さんの言葉に、う…っとつまる奏。
「それに、人の“好き”を俺らが勝手に伝えちゃ駄目っしょ」
社長の言葉にまたまたうぅ…っとつまる奏。
「それに、簡単にくっつくと思ったんだよ、お前らわかりやすかったし」
高遠さんの言葉に、俺と奏は顔を見合した。
「「全然気づかなかったけど…」」
ハモる俺と奏。
「鈍感」
「ぶはっ。確かに鈍感だな」
「鈍感じゃねーよ!」
奏が高遠さんと社長に言い返す。
「つーか、当人同士は余計な思いが邪魔して気持ち見えなかったんじゃねーの?
第三者の方が冷静に見れるって言うじゃん」
聖夜さんの言葉に、俺はそうかも…と納得する。
だって、俺は最初から、奏は俺のこと対象外なんだって思ってたから。
「ま、とりあえず落ち着くとこ落ち着いたんだし。
良かったな、奏。篤、奏のことよろしくな」
「聖夜…うん、ありがと」
「はい!」
へへって笑う奏は、もう可愛くて可愛くて。
俺は勢いよく返事をした。
高遠さんも社長も、優しく笑ってる。
こうやってお祝いしてもらえて、すげー幸せだ。
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