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届きますように 1
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奏と両思いでラブラブで、もー俺は今までの中で一番絶好調じゃないかってぐらい、張り切って仕事をこなしていた。
水瀬さんには「うまくいったみてーだなぁ」なんて筒抜けだった。
そりゃー顔も緩むさ!
帰ったら、大・大・大好きな人がいるんだから!
「ただいま~」
「おかえり」
ぎゅーーと抱きつく。すると奏もぎゅうっと抱きしめ返してくれる。
疲れなんて吹っ飛ぶよね、うん。
奏が作ってくれてたご飯を食べて、二人でお風呂に入って(少しだけイチャイチャして)、リビングでまったり中。
「明日だな」
「うん。あーー、緊張する」
「今からしてどーすんだよ。本番には燃え尽きるぞ」
「だって、歌うのだって生放送だって、何もかも初めてだよ?」
「だーいじょうぶだって。お前なら」
な?と頭をぽんぽんされる。
「いつも通りに、歌やぁいいんだよ」
いつも通りに…。
「…うん」
「よし。もう上行こうぜ。眠い」
ソファから立ち上がって、ん~っと伸びをする奏。
「寝るの?」
今日はエッチなし?
なんて心の中で思っていると、奏は俺の顔を見てぶはっと笑った。
「んな物欲しそうな顔すんなっつの」
…すいません。
「ほら、行くぞ。…いっぱい触っていいから」
その言葉に飛び起きる。
奏の手を引いて、足早に二階へ。
この日も、たくさん触って、触られて。
ぎゅうって抱き合いながら、眠った。
「また呼びに来るから」
「…はい」
宛がわれた控え室。
椅子に深く腰掛ける。
…落ち着け、落ち着け。
奏が言ってた通り、いつも通りに、いつも通りに…って、いつも通りって…?
もうすぐ本番、生放送。
俺の心臓の音と、時計の秒針が追いかけっこしてます。
深く息を吸って、深く吐く。
歌詞、とばないようにしなきゃ。
あれ、歌いだしって…え、ちょ……そう、『きみをひとめ見たあの日』だ、そうだ。
予想以上のテンパリ具合。
歌わなきゃ。
奏がくれた、この歌を。
届けるんだ、みんなに。
そして……奏に。
ぎゅっと目を閉じ、まぶたに奏を思い浮かべる。
奏、奏…と心の中でつぶやいていたら。
コンコンっ。
「…うわっ、は、はい!」
突然のノックの音に、慌てる。
もうそんな時間っ?!
なんて時計を見てみたら、時間までまだ30分はあった。
と、そこにガチャっとドアの開く音がする。
そして、中に入ってきた人物に、俺は自分の目が飛び出すんじゃないかってぐらい驚いた。
だって、そこにいたのは…
「…奏…!」
「よ。」
柔和な笑みを浮かべた、奏だった。
ええええっ、なんで?!
驚く俺を見て、してやったりの顔になる。
椅子に座る俺に近づき、顔を覗き込んできた。
そして両方のほっぺたを…
「いひゃい…」
きゅーって引っ張られた。
「情けねーツラしてんなよ」
ってからうように言ってくる。
「ま、しゃーねぇか。
生放送で歌うなんて、本業が歌手でも緊張するっつーしな」
奏が、ん。と両手を広げた。
立ったままの奏を見上げる俺の顔は、ポカンとしてたと思う。
「ぎゅーしねーの?」
「…します」
俺は奏の腰を引き寄せ、腕の中に抱き入れる。
俺の足の上に乗っかる状態で奏の腕が首に回った。
「昨日励ましたけどさ。
絶対直前にガチガチになんだろなぁと思って。葵に頼んでココ入れてもらった」
…お見通しですか。
「ビックリしたか?」
「…すっごく」
「イタズラ成功だな」
くすくすって耳のそばで奏の笑う声。
「篤。大丈夫だ。お前は歌えるよ。俺が保障する」
まるで魔法の言葉だ。
すーっと心に入っていく。
そして奏は、俺の自信になる最大級の言葉を口にした。
「俺が惚れた声だ。聞かせろよ、篤」
あー、もう。
俺、この人には一生勝てない気がする。
奏の肩に顔を埋めて、想いを噛み締める。
あぁ、俺…ホント好きだなぁ。
「…ね、奏。ちゅーしてい?」
すると奏はふって笑って
「いくらでもどーぞ。」
って言った。
顔を上げて、奏の顔を見つめる。
優しい眼差しが、そこにあった。
ゆっくりと、顔を近づける。
奏のまぶたがそっと降りたのを見届けて…奏の唇に、自分のソレを合わせた。
最初はついばむように。
そしてだんだんと深く。
「…ふ、ぁ…」
奏の口の中を味わいつくすように。
部屋に響くのは、お互いの唾液が絡み合う音と、お互いの吐息。
最後に舌を軽く吸って、顔を離す。
「……パワー溜まったか?」
「…うん」
俺はぎゅーーっと奏を抱きしめる。
奏の腕が、背中に回る。
トクン、トクンって奏の鼓動が伝わってきた。
「…ねぇ、奏」
「ん?」
「届けるから」
「うん」
「聞いてて」
「あぁ」
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