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試写会 3
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「ってか、最後何言ったんですか?
梁瀬さん、なんか固まってたように見えましたけど」
俺の質問に社長はけろっとした態度で、目が点になることを言った。
「ちょぉっと脅しただけー」
……………………は?
ポカンとした俺をみてなにその顔、マヌケーなんて笑ってるけど、いや、ちょ、脅したって………?
「最近ちょっと調子にのってたからなー、アイツ。事務所の奴も被害あったし。
耳元でかるーく、『アンタの弱み、いっぱい握ってるよ。俺、人脈すごいから。例えば……木崎涼クンとのこと…とか?今後一切、ウチの奴にちょっかいかけないでくださいね?……自分が大事なら』って囁いただけ」
なんすかその意味深な言葉は。
木崎涼って、今や大人気の若手俳優か。
何があったんだよ、何したんだよあの人。
っつか、人脈すごいって。
なんか納得しちゃうんすけど。
っつか最後の自分が大事ならって。なんか怖いんですけど。
なんてぐるぐる考えてたら、それはもう甘い笑顔で
「詳しくは、聞くなよ」
なんて言ってきた。
聞きませんよ。
ってか、まぁ、コレって結果的に……
「ありがとうございます、社長」
守ってもらっちゃったってことだよな。
すると社長は一瞬キョトンとして、意味を理解したのか、笑った。
「"親"が"子"を守んのは当然だろ」
社長のそんな言葉が、嬉しかった。
俺、社長の"子"で、心底良かったです。
試写会も大盛況に終わり、ホッと一安心。
あの後梁瀬さんは露骨なぐらい、俺と社長に近寄ってこなかった。
改めて、社長の恐ろしさを実感した。うん。
今日はもう仕事はないので、まっすぐ家に帰る。
奏からメールが来てて、家に聖夜さんがいるらしい。
ってことをぽろっとこぼしてしまったら、社長が、後から俺も行くなっ!って目をキラーンとさせた。
聖夜さんに対する社長のベクトルがいまいちよく分かんない。
「ただいまぁ」
そう言いながらリビングのドアを開けると、テーブルを見ていた奏と聖夜さんが仲良く振り向いた。
「おかえりー、篤」
「おかえり、お邪魔してまーす」
……二人並ぶと、いつ見ても豪華だよね。
なんてしみじみ思ってしまった。
仲良く二人並んで、何見てたんだろ?って思いながら、テーブルをのぞくと、そこにはリスキーのポスター。
「二人で何見てんのさ」
「聖夜が見たいってゆーから」
「えっろいな、篤」
「……どうも」
「自慢してたぞー、奏」
「へ?」
「かっこいいだろーって」
「聖夜っ!」
「ははっ、奏顔真っ赤ー」
あぁもう!なんて言いながら、ポスターをくるくる丸めてく奏。
かわいー。
思わずにやける。
そんな俺を見て、聖夜さんがニヤニヤしてた。
「あんま奏をからかわないでください、聖夜さん」
「いやー楽しくてつい」
「せーいーや」
ジトっと聖夜さんを見る奏、ニィっと笑う聖夜さん。
そんな二人に思わず笑ってしまう。
「学生んときから、そんなノリだったんですか?二人は」
「違うぞ、篤!いつもならからかう立場は俺だったんだ!」
「へ?」
「隆盛先輩とらっぶらぶで、そりゃもう聖夜からかうの楽しかったんだよ!」
「今なら奏の気持ち分かる。楽しいなー」
「仕返しか!」
「さんざんからかわれたからな。今の奏なら、いじりがいあんぞー」
「やめろ!」
「イヤ」
「うーーっ、覚えてろよっ」
「はいはい」
ダメだよ、奏。
今は完全に負け負けだよ。
「その辺にしといてください、聖夜さん」
二人のやりとりに苦笑しながら、割ってはいる。
「へいへい。ダーリンのストップには従いまーす」
心底楽しそうな聖夜さん。
奏がうぅーーっとうなってる。
「ほら、奏。いつまでもそんな顔してないで。
可愛い顔がだいなしだよ?」
「うぅ……」
奏の髪を梳くように撫でる。
おとなしく撫でられる奏に、ふっと笑う。
聖夜さんはそんな俺たち二人を、今度はからかうことなく優しい瞳で見つめていた。
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