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俺の。 1
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それから二時間ほどして、社長と高遠さんが一緒にやってきた。
社長も来ると聞いた聖夜さんが、社長のストッパーとして高遠さんも呼んだらしい。
んでただいま酒盛り真っ只中。
話題は今日の試写会。
試写会、っつーか、俺と梁瀬さんのやり取りを社長がおもしろおかしく聞かせてるところだ。
「梁瀬がさー。
三流ドラマの見過ぎじゃね?ってぐれーの悪役の台詞をはくもんだから、もー笑えるのなんのって」
「確かにその台詞はないな。痛すぎる」
ハッと鼻で笑う高遠さん。
「いやー、でも篤は案外好戦的なんだな?」
聖夜さんが社長と同じことを言ってきた。
「俺もともとそんな大人しくないですよ。普通にケンカとかもしますし。
まぁ、自分からは売りませんけど、売られたら買います」
うん。
俺は決していい子ちゃんではない。
と、奏が俺の服の裾をくいくいっと引っ張った。
「ん?」
横を向くと、奏の表情は少し曇ってる。
……あぁ、この顔は心配してくれてる顔だ。
「ほんとに大丈夫なのか…?」
そんな奏に、微笑む。
「ありがと、心配してくれて。
大丈夫だよ。ちゃんと社長が守ってくれたし」
「そーそー。梁瀬の弱みなんてたんまり握ってっから」
「お前の地獄耳には関心するな、マジで」
「だろー?なに、肇。惚れちゃう?」
「アホか」
そんな軽いやり取りの二人を横目にしながら、奏の頭を撫でる。
「なんにも心配いらないよ。たとえなにかあったとしても、大丈夫。
言ったでしょ?負けないからって。奏はそばで見てて。ね?」
「…わかった」
ふわりと笑った奏に、俺も笑う。
とそこで視線を前に戻すと……なまあったかい視線×3。
「奏がデレてる」
「かっわいーの」
「へぇ、奏がな」
二ヒヒと笑う社長に、ニマニマ顔の聖夜さん、そしてニヤリと笑みを浮かべる高遠さん。
「……う、うっせ!お前らウザい!」
そして噛みつく奏。
いやー、ほんとに仲良しだよね、この人たち。
「はいはい、そう噛みつくな。嬉しいんだよ、俺たちは」
高遠さんが今までに見たことないぐらいの優しい顔で奏を見た。
「やっとお前にも本気になれる相手が出来たってことがさ。
いつも見てきた俺らにとっては、なぁ?葵」
「そーそー。
恋愛に関しちゃけっこう冷めてたお前が、篤の前だとすんげぇ優しい顔すんの。
それを見た俺たちがどれだけ嬉しかったか」
「肇、葵……」
ジーンとした顔で二人を見やる奏。
……うん、いい場面だよね。いい場面なんだけど……。
「お前ら三人、結束の仲だもんなー。
俺学生んとき、何気にお前ら三人あやしい関係だと思ってたもん。
現に噂だってあったし」
そう!そうなんですよ、聖夜さん。
ってかうやむやになってたけど、高遠さんとか社長って、奏とその…少し関係あるよね?
俺、高遠さんとの現場目撃しちゃってるし、そりゃ奏のトラウマの話とか聞いたけど、でも何にも思ってない相手にそんなこと出来ないよね?
やっぱ二人は奏が好きってこと?
そうだよ!俺二人にちゃんと言わなきゃじゃん!
「あのっ…」
思いがけず大きな声が出てしまった。
四人の視線が一気に集まる。
「社長と高遠さんに、言っておきたいことがあります!」
二人はなんだ?って顔して、俺を見た。
「二人は奏のこと、好きなのかもしれないですけど!
もう俺のですから、あげれません!」
言った、俺!
二人の反応をうかがう……と。
「は?」
「へ?」
あっけにとられていて、お前何言ってんの?ってな顔してる。
それは二人だけじゃなくて。
「は?」
「え?」
聖夜さんと、奏もだった。
え?何その反応。
「いや、篤…別にいらねーけど?奏のこと」
「俺もいらないけど」
高遠さんさんと社長がうんうんと頷いてる。
「いや、だって、お二人とも好きですよね?奏のこと」
「そりゃ、まぁ。友達として」
「あぁ、肇に同じく」
「友達?え?だって二人は奏とその…少し関係あるわけで、好きな人じゃなきゃそんなことできないでしょ?」
「あれは友情の延長だ」
「うんうん。奏に恋人いるときはしないし」
ええ?
「あくまで友情?」
「あぁ」
「恋愛いっさいナシ?」
「ないない」
すがすがしいぐらいにキッパリ答える二人。
え?俺のもやもやは何だったわけ?
と、そこに聖夜さんがポツリともらした。
「…なぁ、もしかして篤知らねんじゃねーの?」
俺を見ながらなぁ?なんて首を傾げられても、全然意味が分からないんですけど。
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