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篤に音源を渡し、誰にも聞かせるな、と釘を刺す。
歌詞はまだ?と聞いてくる篤に、一瞬だけ戸惑う俺。
ごまかすように笑って、出来てるよ、と歌詞を渡す。
目の前で歌詞に目を走らせる篤。
そんな篤をチラリと見やって、そわそわする俺。
どー思う、かな。
いや、別にお前のことをかいた!とか言わねーから、俺の気持ちとかがバレることはないんだけど。
全部の歌詞に目を通した篤は、俺を見て微笑んだ。
「すげ…、なんかすっげぇ想いが伝わってくる」
篤のその言葉に、ドキン!と胸が高鳴る。
俺の想いが、まっすぐ篤に届いた嬉しさ、気恥ずかしさ。
一瞬俺の気持ちがバレたのかっ?と焦った…が。
篤はどうやら、映画の主人公の気持ちを綴ったと勘違いしたようで、ホッとしたのが大半……少しだけ残念がる俺がいた。
「頑張って歌う!」
そう宣言した篤が、まぶしく見えた。
定期的に行われる、我が家での飲み会。
篤もオフ日らしく、つまみを作ってくれるのを手伝ってくれた、そんな午後。
初対面の聖夜が余計なことを言いそうなのを制し、葵の聖夜に対する態度に若干引いている篤に苦笑を漏らし、まぁなかなか楽しい時間。
聖夜と少し離れた場所で並んで座り、声のトーンを落としてこそこそ会話。
「で?あの歌篤に渡したんだろ?」
「うん、まぁ」
「お、その顔。嬉しくてたまりませんってか?」
「…聖夜っ」
「なんだよ、違うのか?」
「違わねーけど…」
「お。素直」
「うるせーなぁ」
「んな赤い顔して睨まれてもも恐くありませーん」
「っ、あーもう!からかうなよ!」
「わり、楽しくて」
だらだらと飲み会は続き、篤が酒を切り上げたところでとりあえずお開きとなり、肇と葵は部屋で飲む、と二階に上がっていった。
聖夜は風呂、俺と篤で片づけ。
食洗機に皿をつっこみ、スイッチを押して片づけはひと段落。
コーヒーでも飲むか、とコーヒーメーカーをセットして、ソファで出来上がるのを待つ。
葵の見たことのない姿に若干引いていた篤は、葵はもっと男らしい奴だと思っていたらしい。
アレなぁ。病気だかんな。
まー確かに聖夜は綺麗だし可愛いし騒ぐ気持ちも分からんでもないけど。
「まぁ、確かに人の目を惹く容姿してるよね」
と頷く篤に、ちょっとおもしろくねーなーなんて思いながら、からかい混じりに聞く。
「聖夜に惚れたか?」
そうであって欲しくないな、なんて思いながら。
すると篤は、思いもよらぬ切り替えしをぶっこんできた。
「奏だって惹かれる容姿してるよ?」
「は?」
「髪とか超サラサラだし。
聖夜さんのミドリの目も綺麗だけど、奏の目もすっげ神秘的。
綺麗で俺思わず見とれちゃったもん」
「なっ…」
何を言い出すんだ。
神秘的?
んなの初めて言われたっつの!
なんだか恥ずかしくて思わず俯いてしまった俺。
そんな俺に、照れてる?だの可愛いね、だの追い討ちをかけてくる篤に、からかうな!とキレる。
すると篤はケロッと。
「からかってないし。ホントのこと言っただけだし」
とか真面目に言いやがった!
なんだよ、あーもう!
と一人あわあわしていると、イチャついてるとこわりぃけどって聖夜の声が。
イチャついとらんわっ!
しかも、風呂二人で入ってくるか?なんてニヤっと笑いながら俺と篤を見てきやがった。
この状況に耐え切れなくなった俺は、先に入る!と風呂場へ逃げ込んだ。
くそー聖夜め…。
それになんだ、篤のやつ!
あれは天然なのか?
綺麗とか可愛いとか…他のやつに言われたらむかってくんのに、篤に言われたら、なんか…むずがゆいっつーか…。
そいや聖夜も言ってたっけ。
隆盛限定ならどんな言葉も嬉しいって。
まー、確かにそうだな。
篤からの言葉は、どんな言葉でも嬉しいかも。
でも!
いきなりあんなこと言われたら焦るっつの!
なんて、湯船につかりながら、あーー、うーー、と奇声を発していた俺。
平常心を保つ頃には、すっかり茹で上がっていた。
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