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初めての食堂だが、何か
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「…ひ、朝陽、おい、起きろって」
「んァ…な、に。ユ…」
「エッロ…じゃねぇ!もう8時だぞ!飯!」
バサァッ
と、大袈裟な音を立てて起き上がる朝陽
そして、驚くユウ
「ご飯、食べる」
「…フハッ!よし、食堂行くか!」
コクコク))
寝起きの朝陽はエロい。と、余計なことを頭にインプットしながら、ユウは朝陽を連れて食堂へと出掛ける
「あ、そうだ。朝陽、髪の毛」
ふと見ると、朝陽の前髪が跳ねて日和似の綺麗な顔が見えていた。
(朝陽が綺麗なのバレたら喰われるっ、)
ユウが手早くワックスで前髪をいつもの通りに伸ばし、朝陽の顔を隠す
「ありがと」
(う、クソ…デケェのに可愛いとか)
ユウと2人、並んで廊下を歩く
「きゃっ、高尾様だっ」
「カッコイイぃ!」
「何、あのキモいの!高尾様が汚れる!」
「…」
「すまねぇな、まぁ、気にすんなよ」
少し機嫌の悪そうな朝陽を見て、ユウが声を掛けるが朝陽は何も答えなかった
気まずい雰囲気の中、それでも足は着々と進んで食堂にたどり着く
ガチャ
「キャーーーーー!」
「高尾様が食堂にいらっしゃる!」
「横のやつ、誰?キモいんだけど」
「高尾様が汚れる!やだ!」
「うるせぇ!黙りやがれ!」
ユウの雄叫びが食堂に響き渡る
食堂は波打ったようにしんと静まり返った
その中でなおも歩き続ける朝陽だけが
イレギュラーのように浮かび上がっていた
2人はちょうど食堂の2階部分の傍の席に座った
未だ静まり返る食堂内で2人の会話だけが
唯一響く音となっていた
「これ、どうする」
「嗚呼、食べたい料理をタッチしてカードキーを通す。そしたら確認が出るから、オッケーか、キャンセルか、追加注文のボタン押す。わかったか?」
「嗚呼。ありがと」
特に会話も無いまま時間だけが過ぎ
注文した料理が運ばれてきた。
「ありがとうございます」
「い、いえっ///」
(ん?何か失礼なことでも言ったか…)
一連をみていたユウが口を開く
「ここでは、運ばれてくるのが当たり前。誰も感謝の言葉なんていわねぇんだ。だから、ウェイターはビックリしたんだよ」
「…?社会的地位も学力も顔も、そんなものは人間の間だけで有効なものだ。天から与えられた万物に対して、それは無効であり、侮辱に当たる」
ユウは目を見開き、これでもかと朝陽を見つめた
それをみた朝陽は、こいつもか。そう思った
が、今度は朝陽が目を見開いた
「スゲェ…朝陽はスゲェよ。俺、そんなの考えたことなかった。物には全部順位があって、それは人間が決めてて、順位が上なら崇められる。それが普通だと思ってた。俺、恥ぢぃわ。朝陽に出会えてマジで良かった」
「…そ、か//」
「ん?照れてやんの」
「…るさいっ」
2人の空気は一気に和み、暖かな雰囲気が漂う
「さっき、ごめん。俺、眼、怖いだろ?だから、避けられるのとかなれてて。無意識に、ああやって、対処しちまう、んだ」
「大丈夫だ。俺は朝陽のこと怖いなんて思わねぇ…それによ、大事に思ってる奴だけでいいんじゃねぇの?気にすんの。」
うつむく朝陽。
ユウはしまったと思った。
もしかしたら地雷を踏んでしまったのかもしれない。怒らせてしまったかも。はたまた泣かせてしまったのか。
ユウが顔を青白くさせてアタフタしていると
朝陽がおもむろに口を開いた
「…ユウは俺、怖くないって言った。それだけ、気にしとく」
徐々に言っている意味が分かり、赤面するユウ。
(お、俺が大事ってことだよな、だよな)
「俺も、お前のこと大事」
「キャーーーーー!!!!!!!」
「…だ」
「?」
今まで聴いた中で一番、耳を劈く様な悲鳴が食堂に木霊する
ユウに生徒会だと聞いて、朝陽の中で1人思い浮かぶ人物がいた
「やぁ、朝陽」
居た。
訂正。目の前に居た。
「藤先輩、どうしてここ?」
「朝陽に会いに来たんだよ。ダメかな?」
ブンブン、と首を横に振りまくる朝陽
朝陽の中ではそれほどまで、仲良くしたい。大事にしたいと思える人に位置付けられているようで、龍亞もそれに気付いているようだった
二人の間を甘い空気が流れる
「おい、お前。龍亞を落としたらしいな。一体どんな手を使ったんだァ?それとも、よっぽど具合がイイのか?ククッ」
「ちょっと!拓海っ」
バチン
龍亞の言葉を遮ったのは平手打ちの決まった音
「キャーーーーー!!!!!!!」
「拓海様がぁああっ」
「許せない!!!」
悲鳴や怒号が乱れる中、ぶたれた男。
生徒会会長、鈴城 拓海(すずしろ たくみ)が
ぶった男。朝陽にこう言い放った
「ククッ…気に入った。お前、俺のモンになれ」
朝陽が怪訝そうに眉をひそめ、近づけられていた拓海の顔から距離を置こうとした
すると、逃すまいと拓海の手が朝陽をしっかりと掴み口付けた
「んんっ!…やめ、んはァッ」
食堂にいる全員が2人の口付けに目を奪われ
朝陽の甘い声に酔いしれていた
バン!
「おい!クソ会長さんよぉ…俺の朝陽に触ってんじゃねぇよ。クソムカつく」
「あぁん?」
拓海の意識が朝陽から逸れた瞬間
龍亞が拓海から朝陽を引き剥がし
自分の後ろへ隠す
「おぉ、これはこれは、次期生徒会長候補様の柊 郁人(ひいらぎ いくと)くんじゃねぇーか…俺の朝陽ったーどういう事か話が聞きてぇなぁ」
聞き覚えのある名前に、ハッと顔を上げる朝陽
クソ生意気な弟と目が合う
すると郁人は険しい顔になり、すぐに目を逸らされた
(そんなに俺のこと、嫌いなのか)
「ハァ?なんでンなことお前に言わなきゃなんねぇわけ?…とにかく、ソイツ、俺のモンだから。勝手に触んじゃねぇよ」
今度は目をそらさずに、じっと、朝陽を見ながら郁人がそう言う
そして、そのままゆっくりと朝陽の前まで足を運ぶと耳元に唇を寄せた
「手間かけさせんじゃねぇよ…クソダセェ兄貴さんよ」
朝陽はムッとしたが、すぐにその言葉の意味に気付き俯く
(…心配、してくれたんだな)
「おら、行くぞ。もたもたすんな」
「おいっ…」
手をつなぎ、食堂を後にする2人
後には、ユウと龍亞の悔しそうな顔と
拓海の満面の笑みだけが残った。
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